写真1●モバイルマーケティングソリューション協議会の木村潤氏
写真1●モバイルマーケティングソリューション協議会の木村潤氏
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●ゴルフダイジェスト・オンラインの下川正史氏
写真2●ゴルフダイジェスト・オンラインの下川正史氏
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●千趣会の中村素清氏
写真3●千趣会の中村素清氏
[画像のクリックで拡大表示]
写真4●ネットプライスの東園基恒氏
写真4●ネットプライスの東園基恒氏
[画像のクリックで拡大表示]

 携帯電話向けの電子商取引サイトを営む3社が,6月6日から7日にかけて開催されている「NET Marketing Forum」に集結し,売れるサイトの条件についてディスカッションした。3社はそれぞれターゲット顧客に違いがあり,ディスカッションでは,顧客層に合わせた個々の携帯電話戦術が明らかになった。モデレータは,モバイルマーケティングソリューション協議会の木村潤氏が務めた。

 ディスカッションを行ったのは,(1)雑誌「ゴルフダイジェスト」と連動するゴルフ情報サイトを運営するゴルフダイジェスト・オンラインの下川正史氏,(2)カタログ通販からスタートした通販サイトを運営する千趣会の中村素清氏,(3)ギャザリング(共同購入で購入数を増やして販売価格を下げるモデル)サイトを営む流通業者であるネットプライスの東園基恒氏---である。

 業種の違いに応じた各サイトの特色として,ゴルフダイジェスト・オンラインの下川氏は,常時持ち歩いて身に付けているという携帯電話の特色に触れ,携帯電話からのゴルフ場の「予約」が多い点を指摘した。予約しようと思った時にタイミングよく予約できるのは携帯電話ならではの使い方である。

 通販サイトの中村氏は,小売業店舗と比較したオンライン店舗の特徴として,集客の方法に大きな特色があるという点を指摘した。中でも,導線をどう張るかが重要だと言う。同社が参画している「モバコレ」の事例では,「『モバゲータウン 』用の仮想通貨をモバコレ利用者に対して発行したところ一気に集客率が向上した」(中村氏)という。

 ネットプライスの東園氏は,ギャザリングという業態の性質として,ロングテール商法ではなく,ある商品の販売と同時に一気に火が付くという特徴を紹介したうえで,「パソコンよりもリアルタイム性の高い携帯電話向きのビジネスである」(東園氏)とした。

 携帯電話向けサイトで,高額商品の購入が進んでいるという点では3社とも同意見だった。下川氏は,ゴルフ用品を購入するユーザーはメーカー名と商品名さえ分かれば実物を手に取らずとも買う点を指摘。むしろ,「会社帰りに店舗で気楽に買えるCDなどとは異なり,アイアン・セットなどは重いため,通信販売で買って家に届けさせるケースが多い」(下川氏)。

 中村氏はブランド品の特色に触れた。ブランド品を通信販売で購入するのは,もはや普通のことになっているという。有名な販売店になれば,偽者をつかませられる心配が少ないという消費者の信頼も得られるとしている。

 東園氏は,ギャザリングの特徴として,「『今なら安く買える。この機会を逃してはならない』という消費者の欲求により高額なブランド品も売れる」という。

 パソコンと比べた携帯電話のメリットを強く指摘したのは,千趣会の中村氏だ。同氏は,メール・マガジンの反応が良い点を指摘する。メールを配信すると1時間以内にすぐに反応があるという。「数多く参加してきて,すぐに抜けるのが携帯電話ユーザーの特徴。パソコンのような,参加も脱会も少なくて反応も鈍いメルマガとは携帯電話のメルマガは根本的に異なる」(中村氏)。

 また携帯電話ならではの傾向として,トップ・ページの重要性についても中村氏は触れた。携帯電話では,リンクをたどって深い階層まで見ることはあまりないからだ。トップ・ページではまた,限られたスペースを使ったちょっとした広告コピーの効果が高いという。「『エビちゃんが愛用している』などのコピーが絶大な効果を生む」(中村氏)。さらに,おサイフケータイなどのように,決済がワン・ストップで完了する手軽さも携帯電話の利点であるとした。

 一方,SEO対策の効果に触れたのは,ゴルフダイジェスト・オンラインの下川氏。同サイトでは,ゴルフ場の予約からゴルフ用品の販売,さまざまなゴルフ情報まで,ゴルフに関する一連のライフ・サイクルをカバーしている。ただ,携帯電話ならではの検索キーワードとしては「渋滞情報」の重要性を挙げる。ゴルファーにとってゴルフ場に向かう移動手段は自動車である場合が多く,高速道路の渋滞情報が有益であるためだ。「去年は一時期,渋滞情報で検索すると,うちのサイトが1番上に表示されていた。集客効果もあった」(下川氏)としている。