写真●オーバーチュアでマーケティングシニアディレクターを務める山中理恵氏
写真●オーバーチュアでマーケティングシニアディレクターを務める山中理恵氏
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 検索連動型広告大手のオーバーチュアは,2007年4月に「新スポンサード・サーチ」をローンチした。この新しい広告は,従来のテキスト広告だけでなく,画像などのリッチ・コンテンツを用いた広告を扱えるようにするほか,携帯電話やTVでの閲覧,視聴者の属性に応じたターゲッティング広告などを実現する構想を持っている。

 オーバーチュアでマーケティングシニアディレクターを務める山中理恵氏(写真)は,こうした新しい検索連動型広告が求められている背景について,NET Marketing FORUMで講演した。

 広告費の規模はTVとSP広告が群を抜いているが,伸び率が良いのはインターネット広告だ。電通の調査によれば,インターネット広告は2006年までの実績値で年率30%以上の成長率で伸びているという。日本の特色としてバナー広告が多く検索連動型はその次に位置するが,米国では検索連動型が主流だ。バナーはインプレッション(表示)で課金する広告1.0モデルであり,検索連動型はクリックによって課金する広告2.0モデルである。

 携帯電話によるインターネット利用も増えている。2005年にはPCユーザーよりも携帯ユーザーの方が数が多くなった。家庭でのインターネット利用も増えている。ネットレイティングスの調査では,2002年から2006年にかけて家庭でのネット利用時間は12.2倍になったという。10代,20代,30代,40代が,それぞれ同じくらいの利用率であり,さらに,TVとインターネットの視聴時間には,あまり差がないという。それだけ長時間ネットを使っているのである。

 ユーザーにとって,情報との関わり方は,1に見る,2に探す,3に発信する,というものだ。従来はマスメディアが情報を流していたが,現在ではユーザー同士がコミュニティを形成しており,ブログ/SNSの利用も急増している。こうした状況下で,常にサーチがインターネットの中心にあるという。

 情報収集手段のトップ2は,メーカー/サービス提供者のサイトとメール・マガジンだが,3位から下にはすぐに,情報サイトのユーザー・レビュー記事や個人ブログなどが続く。

 どういった消費行動に対してどういった情報収集をするか,サーチの影響力はどこまで大きいかを調べた調査によれば,「豪華な旅行」など,個人の巨額な利益に直結するような,能動的によく調べたい商品の場合は,サーチが1番であるという。VoIPなどのIT関連もサーチが1番である。他には,自動車は1位がディーラー,2位がメーカーで,サーチは3位。損保は,1位が損保会社,2位にサーチ。カジュアル・ウエアでは,小売業とメーカーにはかなわないものの,3位にサーチが食い込む。

 一般消費者のネット利用に詳しいメディア企業の米Yahoo!では,「Yahoo Go!」と呼ぶ新しい操作性を備えたサービスを始めているという。PCに加え,携帯電話やTVでPCと同じコンテンツを見られるようにしている。ユーザー属性に応じて適切なコンテンツを見せるという機能も持つ。これが,今後のネット利用のスタンダードの姿になりつつあるという。

 このように,ネット利用状況は変わってきている。検索連動型広告のマルチプラットフォーム化とリッチ・コンテンツ化,ターゲッティング広告化は,こうした背景から生まれてくるものなのだという。