写真1●日本コカ・コーラ マーケティングオペレーション ニュープラットフォーム統括部長の江端浩人氏
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写真2●「Coke side of life」キャンペーンのキャラクター
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写真3●「Coke×モバゲーTown」
写真3●「Coke×モバゲーTown」
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写真4●テレビやラジオ,雑誌などのマスメディアと全国20万台の自販機などを使ってサイトに誘導するクロスメディア戦略
写真4●テレビやラジオ,雑誌などのマスメディアと全国20万台の自販機などを使ってサイトに誘導するクロスメディア戦略
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 6月6日,東京・六本木ミッドタウンでNET Marketing Forumが開幕した。冒頭の基調講演には,日本コカ・コーラ マーケティングオペレーション ニュープラットフォーム統括部長の江端浩人氏(写真1)が登壇。モバイル・ネットなどの新興メディアと旧来のマスメディアとを融合させた新しいマーケティング戦略について語った。

 コカ・コーラでは,2006年から世界的にマーケティングのデジタル転換を進めている。マスメディアを使ったプロモーションの効果が急速に落ちているためだ。テレビCMの認知率が,1965年には34%あったが,2000年には9%に落ちた。特に若年層にメッセージが届いていないことがわかったという。

 そこで全世界一斉に「Coke side of life」キャンペーンを導入した(写真2)。全編フルCGのアニメーションで,「Cokeの効いた人生」をテーマにインパクトの高いCMに仕上がっており,若者を中心に圧倒的な視聴率を獲得したという。

 日本のデジタル戦略としては,ネット・ベンチャーのディー・エヌ・エーと共同で実施した「Coke×モバゲーTown」タイアップ・キャンペーンが新しい試みだ。モバイルを軸にOne to Oneマーケティングを展開した。

 「若者をターゲットとしたキャンペーンをモバイルの世界で実施しようと考え,2006年夏からパートナ探しを開始した。携帯向けSNSサイトのモバゲータウンは同年2月にスタートアップしたばかりだったが急速に会員を拡大しており,春にはブレークするだろうと予想し,タイアップを決めた」と江端氏は経緯を語る。

 モバイルを使ったキャンペーンは,まず清涼飲料水のファンタでその効果を検証した。テレビCMなどのマスメディアは一切使わず,モバイルの世界だけでプロモーションを行った。

 企画の内容はこうだ。モバゲータウンのコミュニティ内にキャラクターを住まわせ,ユーザーはキャラクターがマイページに書く日記を読んだり,無料のゲームで遊んだり,アバターのアイテムをもらったりできる。このサイトは人気を呼び,キャンペーン期間中(2007年1月15日~4月27日)に,マイページのアクセスが500万PV,日記の閲覧PVが800万PV,日記へのコメントの書き込みが36万件以上,友人登録したユーザー数が21万人に達した。

 そこでコカ・コーラはモバイルを軸にしたマーケティング戦略の第2弾として,コカ・コーラのキャンペーンを実施した。「Coke×モバゲーTown」という共同サイト(写真3)を立ち上げるとともに,テレビやラジオ,雑誌などのマスメディアと全国20万台の自販機などを使ってサイトに誘導するというクロスメディア戦略を大規模に展開した(写真4)。

 ファンタのときと同様,コークスキーという名前のキャラクターを作り,日記やアバター・アイテムのほか,イベントなどを開催することでユーザー同士の交流を図った。この結果,5月1日~6月2日の1カ月ほどのキャンペーン期間中に,トップページへのアクセスが1853万PV,日記の閲覧PVが563万,日記コメントが19万件,友人登録したユーザー数が35万人となった。

 「新しい時代のWebマーケティングは,ユーザー同士の会話や交流が鍵になる。今後はモバゲータウンの成功体験を生かし,ジョージアや他のブランドの戦略に展開していく」と,江端氏は締めくくった。