ブロードバンド事業者のアッカ・ネットワークスは6月6日、日本IBM顧問の木村正治氏が最高経営責任者(CEO)に就任すると発表した。代表取締役社長の坂田好男氏は同日付で取締役に退き、無線ブロードバンドのWiMAX事業に専念するという。木村氏は8月の臨時株主総会と取締役会を経て、代表取締役社長に就任する。

 アッカはコンシューマ向けのADSLサービスで業績を伸ばしたが、市場はFTTHへと急速にシフトしている。アッカもFTTHを提供しているものの、NTT東西のように光ファイバの回線を保有していないため苦戦している。また、WiMAXは参入意向を表明しているが、現段階では総務省が免許を与える事業者を決めていない。

 こうした背景からアッカは「新たな成長に向けビジネスモデルの転換を図ることが急務となっている。戦略を機動的に実行するため、木村氏を招いた。今後コンシューマ事業の利益を維持しつつ、法人ソリューション事業の拡大やWiMAXの免許獲得を目指す」としている。法人事業については筆頭株主であるNTTコミュニケーションズ(NTTコム)との連携強化を図るという。

 木村氏は、日本IBMで小売業やソフトウエアの事業部長を歴任。96年にソフトウエア事業担当の取締役になった。98年には米IBMのルイス・ガースナー会長(当時)の補佐を務めている。2000年から03年まで日本IBMの常務取締役、02年から03年まではIBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)の社長を兼務していた。その後、日本IBMの常務執行役員となりソニーを担当し、昨年7月に同社顧問となっていた。

 なお、アッカはNTTコムが19.7%保有しているアッカの株式のうち、5.0%を新生銀行を中心としたイグナイトBB投資事業有限責任組合が取得することを公表した。これに伴う、筆頭株主の異動はない。