AMD エグゼクティブバイスプレジデントのヘンリー・リチャード氏
AMD エグゼクティブバイスプレジデントのヘンリー・リチャード氏
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CPUとノースブリッジの電源制御を分離し、消費電力低減を図る
CPUとノースブリッジの電源制御を分離し、消費電力低減を図る
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新プラットフォーム「FASN8」の概要
新プラットフォーム「FASN8」の概要
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「Radeon HD 2000」で描画性能を向上させた
「Radeon HD 2000」で描画性能を向上させた
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 米AMDは2007年6月5日、台湾・台北市で開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2007」に合わせ報道関係者向け説明会を開催。同社エグゼクティブバイスプレジデントのヘンリー・リチャード氏が、クアッドコア(4コア)構成のサーバー向け新CPU「Barcelona」(開発コード名)、最新のCPUとグラフィックスチップを組み合わせたプラットフォーム「FASN8(fascinate)」などの取り組みをアピールした。

 説明会では、Barcelonaが消費電力削減という点で優れていることを強調した。従来はCPUコアとノースブリッジの電源制御を単一の系統で行っていたが、Barcelonaではこれを別々に制御する仕組みとした。これにより、CPUコアとノースブリッジのいずれか一方が駆動中でもう一方がアイドル状態の場合などに、アイドル状態の側のみ電圧を落として消費電力を削減できるとしている。

 会場では、従来版のサーバー向けCPUであるOpteronとBarcelonaで消費電力を比較するデモを実施し、Barcelonaの優位性をアピールしていた。また、米スーパーマイクロコンピューターが開発中の、Barcelonaを搭載したブレードサーバーの試作機を壇上で披露した。同社ではBarcelonaを、2007年第3四半期に量産出荷する予定という。

 リチャード氏はまた、デスクトップパソコン向け新CPU「Athlon X2」、デスクトップパソコンのきょう体の新規格「DTX」にも言及。サーバー向けCPUにも、さまざまな形で消費電力の低減に取り組んでいることを強調した。

PhenomとRadeon HD 2000搭載の「FASN8」

 説明会では、AMDが開発中の新プラットフォーム「FASN8」についても解説。デスクトップパソコン向けCPUの新シリーズ「Phenom」と、5月に量産出荷を開始したグラフィックスチップの新製品「Radeon HD 2000」、開発中の新チップセットを組み合わせたもの。DirectX 10による描画処理の高速化に重点を置いており、映像制作・編集を始めとする業務用や、CGを多用するゲームなどに向け提供していく方針。

 会場では、Radeon HD 2000を用いた映像処理のデモを実施。3次元CGによる描画を従来よりきめ細かくできること、顔認識を始めとする負荷の高い処理も問題なく実施できることなどを示した。2007年下半期をめどに出荷開始する予定。なおFASN8は「First AMD Silicon Next-generation 8-core Platform」を略したものという。

 このほか説明会では、東芝がノートパソコン「Satellite」の欧米市場向けモデル3製品にAMD製CPUを採用することを改めてアナウンスした。米インテルの攻勢に押され気味と言われているAMDだが、懸命にイメージ改善を図ろうとしている。

「8コアはいつ?」との質問に…

 説明会の質疑応答では、AMDが開発中の8コアCPUについて出荷時期を問う声が挙がった。これに対してリチャード氏は「コア数がいくつであるかは、本来エンドユーザーには関係のない話。市場のニーズがなければ、いくら製品を出しても意味がなく、市場のニーズにあった製品投入が必要だ」と慎重な立場を表明。状況によっては当初見込みより量産出荷を遅らせる可能性もあることを示唆した。