写真1●ソフトバンクモバイルのHSDPA対応データ通信カード「SoftBank C01SI」。セイコーインスツル製で,アイセラのHSDPAチップ「Livanto ICE8020」を搭載する
写真1●ソフトバンクモバイルのHSDPA対応データ通信カード「SoftBank C01SI」。セイコーインスツル製で,アイセラのHSDPAチップ「Livanto ICE8020」を搭載する
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写真2●アイセラのHSDPAチップ「Livanto ICE8020」
写真2●アイセラのHSDPAチップ「Livanto ICE8020」
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 「2008年にはHSDPAチップを内蔵したノート・パソコンやPDA(携帯情報機器端末)が登場するだろう」──。英国の半導体ベンチャーであるアイセラのスタン・ボーランド社長兼CEO(最高経営責任者)は,6月5日に開催した日本向けの事業戦略説明会でこのような見通しを示した。

 同社は2002年4月の設立以来,日本市場にターゲットを絞り,約5年間かけてHSDPA(high speed downlink packet access)のチップ開発に取り組んできた。最初に商用化を実現したのは,ソフトバンクモバイルが6月1日に販売を開始したHSDPA対応データ通信カード「SoftBank C01SI」(セイコーインスツル製,写真1)である。

 アイセラのHSDPAチップ「Livanto ICE8020」(写真2)の特徴は,DXP(Deep eXecution Processor)と呼ぶ仕組みで通常は機能ごとに分かれているプロセッサを一つに集約し,モデムの機能をソフトウエア・ベースで実現した点。他社のチップに比べてサイズが小さく,スループットが高いという。

 今後は組み込み市場も狙う。パソコンや家電向けの組み込みチップ「ESPRESSO PC200」も開発しており,既にパソコンやPDAメーカー数社と交渉している。冒頭の発言も,こうした背景に基づくものだ。日本国内の売り上げ目標は,2009年度に50億円,2010年度に100億円。日本以外の国への展開も進めており,「既に海外の一部事業者が検証を終えており,大半は良い反応を得ている。品質に厳しい日本で商用化できたので世界でも十分通用できる」(ボーランドCEO)と自信を見せている。

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