「コンバインド・コミュニケーション」は「さよならマイクロソフト」の始まりだ、と語るNTTデータの松田氏
「コンバインド・コミュニケーション」は「さよならマイクロソフト」の始まりだ、と語るNTTデータの松田氏
[画像のクリックで拡大表示]
NTTデータとのパートナーシップにより、「セキュアなSaaSを大企業に届ける」と話す米スタートフォースのジン・コウCEO
NTTデータとのパートナーシップにより、「セキュアなSaaSを大企業に届ける」と話す米スタートフォースのジン・コウCEO
[画像のクリックで拡大表示]
コンバインド・コミュニケーションの特徴
コンバインド・コミュニケーションの特徴
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTデータと米スタートフォースは2007年6月5日、スタートフォースが開発するWebデスクトップ「StartForce」を企業向けに提供開始した。Webデスクトップとは、OSのデスクトップのような環境をブラウザー上で実現するサービス。StartForceはこれまで無償で公開していたが、NTTデータとのパートナーシップにより企業システム分野に参入する。

 NTTデータは、特定ベンダーの製品ですべてを構築するのでなく、オープンで安価な複数のツールを柔軟に組み合わせる「コンバインド・コミュニケーション」と呼ぶ企業内コミュニケーション環境の実現を推進している。2007年6月から企業への提案を始める予定で、これを構成する主要コンポーネントの一つとしてStartForceを採用する。

 StartForceはAjaxと呼ばれる技術を用いてOSのデスクトップのようなユーザーインタフェースを提供するほか、ユーザーごとのネットワークストレージや、ワープロや表計算ソフトなどのアプリケーションも用意している。これにより、外出先のパソコンでも自分のデータや環境が使える、在宅勤務が容易になる、システム管理コストを低減できるなど、企業ユーザーにとって複数のメリットが考えられる。

 NTTデータは、StartForceを「第一ステップとしては、ロケーションフリーなデスクトップとネットワークストレージ、として利用する」(NTTデータ ネットワーク企画ビジネスユニット長でプリンシパルITスペシャリストの松田次博氏)予定。StartForce上のアプリケーションソフトは「Word」や「Excel」の代替として使うには現時点では不足があり、これらを置き換えるにはまだ時間がかかると見る。だが「4~5年後には、現在マイクロソフト製品が使われている部分の半分はWebベースになるのではないか」(松田氏)という。

 誰でも利用できるStartForceは同社のサーバー上で運用しているが、企業向けには、導入企業の自社サーバー上で動作させる形態で提供する。他社のサーバーに自社のデータを置くことを不安視する企業が少なくないためだ。これ以外にも、「オフラインでも利用できるようにする技術を現在開発中」(スタートフォースのチャン・ジン・コウCEO)など、企業システムにおいて重要な機能を順次追加していく予定だ。

 StartForce以外には、積水化学工業がオープンソースソフトウエアを用いて開発したメール、グループウエアシステムや、NTTデータのユーザー管理・認証システムなどをコンバインド・コミュニケーションのコンポーネントとして用意する。企業システムとしての導入を検討する企業だけでなく、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)などに対して提供することも考えているという。