「PostgreSQLはバージョンアップのたびに速くなっている。8.3は"あのDBMS"よりも速くなる」---PostgreSQL Global Development Team コアメンバーで米Sun Microsystemsの技術者でもあるJosh Berkus氏は6月5日,日本PostgreSQLユーザ会が開催した「PostgreSQLカンファレンス2007」基調講演で今後の開発予定などについて語った。
現在開発中のPostgreSQLは4月に機能が確定(フィーチャーフリーズ)し,2007年10月にも正式リリースされる見込みだ。8.3ではパフォーマンスが大幅に向上するとBerkus氏は言う。「トランザクション性能は,MySQL 5.0や,製品名は言えないがあの商用DBMSよりも速い」とBerkus氏は主張する。TPC-C,SPECjおよびTPC-EベンチマークによるスコアではそれらのDBMSを上回るという。「ベンチマークはSun Microsystemsと協力して計測している。PostgreSQLのデータは近く公表する」(Berkus氏)。HOT Updateと呼ぶ,インデックスの更新回数を減らす仕組みや、キャッシュ・プラン管理方式の改良などにより性能を向上させているという。
またデータベース・サイズは8.2の4Tバイトから8Tバイトへ拡大。全文検索機能Tsearch2を全面的に統合する。トランザクション性能解析ツールやSQLからの移行ツールENUMsや,PL/pgSQL Debuggerなどのツールも開発されている。
Google Summer of Codeでも,2006年に引き続き今年もPostgreSQLの機能拡張プロジェクトが採択されている。2006年はXMLサポートやphpPgAdmin,ログ解析ツールなどのプロジェクトが行われた。2007年のプロジェクトはER図設計ツールや、行レベルのパーミッション、ホット・スタンバイ、バキューム・スケジューラなどだ。
8.3以降では,Skypeが開発し使用しているSkytoolsと呼ぶクラスタリング・ツールの提供が予定される。「Skypeではこのツールにより20以上のサーバーをクラスタリングし、2500万以上のユーザーのデータを扱っている」(Berkus氏)という。またpgClusterIIではOracle RACのようなクラスタリング機能を開発しているという。