シックス・アパートは6月5日、ブログ構築ソフトの新版であるMovable Type 4を発売した。2007年7月18日から出荷の予定である。新版では、管理画面のユーザー・インタフェースを全面刷新したほか、CMS(コンテンツ管理システム)機能やコミュニティ機能を強化した。価格は企業向けが、1サーバー・5ユーザーの基本ライセンスパックで5万2500円、バージョンアップが同2万1000円から。個人利用は無償である。将来、開発者を対象としたオープンソース版の提供も開始するという。販売目標は非公表だ。

 シックス・アパートの関信浩代表取締役によれば、「ブログはWebのすべてにかかわるウェブ・プラットホームとでもいうべき存在に変わりつつある。企業においても、単なる情報公開だけでなく、マーケティングからEコマースまで、用途がどんどん広がっている。Webサイトすべてをブログで構築しようと考える企業もある」と話す。

 Movable Type 4では、企業が用いるウェブ・プラットホームとしてのあるべき姿を主に考えて機能を強化した。例えば、管理画面のユーザー・インタフェースの一新は、ブログを使って情報を発信する社員が増えてきたことに対応したもの。ITの知識のない人にも使いやすいよう、管理画面の操作性を向上させたわけだ。例えば、Web2.0を代表する技術のAjaxなどを採用し、パソコンにインストールして使うソフトに近い使い勝手としている。

 Webサイト全体をブログで構築したいという企業を、特に念頭に置いて強化したのがCMS関連機能である。コメントやトラックバックを受け付けるブログの記事だけでなく、会社概要などのWebページを想定し、静的なWebページも生成・管理できるようにした。HTMLなどの専門知識がなくても、表示される画面のイメージそのままで投稿できる、WYSIWYG編集機能も追加している。複数のブログのコンテンツを集めてポータルを構築することも可能になった。

 この分野でのMovable Type 4の強みとして、安さを挙げることもできる。本格的なCMSソフトを導入すれば100万円を上回る費用が必要なことが多い。これらに比べると、大量のWebページを管理する能力などで劣る面はあるが、Movable Type 4の導入費用は5万2500円から。圧倒的に安価に導入することができる。

 コミュニティ機能の強化には以下のようなものだ。複数の人間がブログに参加しやすくするように、登録を済ませて管理者が認めた場合には、コメント投稿者もブログの記事を書けるようにした。登録には、Webの世界で急速に広まりつつあるOpenIDを利用することが可能だ。このほかに個別の記事をレーティングで評価できるようにもしている。

 用途ごとにいくつかの版に分かれていたこれまでの製品と異なり、Movable Type 4は、プラグインと呼ぶソフトを追加して、特定用途向けの機能を強化する構成とした。同社は、大企業で利用することを想定したエンタープライズ・パックを今秋以降に提供する方針だ。エンタープライズ・パックは、オラクルやマイクロソフトのデータベースと連携してスケーラビリティを向上させたり、LDAPによる認証に対応したりすることができる。

 6月5日からは、主に開発者に向けて、Movable Type 4の公開ベータテストを開始している(アクセス先はこちら)。これから7月18日の正式出荷までに、現行のMovable Type 3の購入した場合、無償でアップグレードできる。