トレンドマイクロは2007年6月4日,企業向けセキュリティ対策ソフト「ウイルスバスター コーポレートエディション 8.0」を発表した。6月28日から出荷を開始する。

 新製品の目玉は,オプションで提供される「Webセキュリティサービス」に含まれる「Webレピュテーション機能」。怪しいWebサーバーとのHTTPでのデータのやり取りをブロックすることで,ボットなどの悪意あるプログラムの通信を遮断するものだ。具体的には,HTTPによるダウンロードやアップロードが発生した際,通信先のWebサイトのURLを同社のデータベースに問い合わせ,評価の低いWebサイトだと通信をブロックする。

 この評価に使うデータは,これまでフィッシング対策などのために提供してきたURLフィルタリング・サービス用のものに,今回新たに作成したWeb評価データベースを合わせたもの。Web評価データベースは,アクセス先のIPアドレスやURLが悪意あるWebサイトがよく使う特徴を持っているかを判断するもので,点数によって怪しさを評価する。例えば,登録からほとんど日数がたっていないドメイン名や,頻繁にドメイン名が変更されているIPアドレスのサーバー,一つのDNSサーバーに大量のドメイン名が格納されているサーバーのIPアドレスなどが低い評価になっている。

 最近のウイルスは,最初にダウンローダと呼ばれる小さなプログラムをパソコンに送り込み,ダウンローダが悪意のあるファイルを次々にダウンロードすることで端末に不正なプログラムを埋め込む。また,ウイルス対策ソフト・ベンダーのパターン・ファイル提供より先に,プログラムをアップデートしていくことで,検知を逃れる手法を採る。Webレピュテーション機能を使って怪しいURLへの接続を遮断すれば,こうした攻撃にも対応できるというわけだ。

 ウイルスバスター コーポレートエディション 8.0単体としては,新機能をプラグインの形で追加可能な構造にした点が新しい。そのメリットとして,トレンドマイクロは(1)メジャーアップデートのタイミングとは関係なく最新の防御技術を使った新機能を提供可能,(2)ウイルス対策以外のアプリケーションとの組み合わせが容易,(3)他社からの機能提供による新しいビジネスの可能性――を挙げる。(2)としては2007年後半にバックアップ・ツールをプラグインとして提供する予定。(3)の他社ベンダーに対しては,今後協力を呼びかけていくという。

 ウイルスバスター コーポレーションエディション 8.0の価格は5ライセンスで3万6000円。オプションのWebセキュリティサービスはこれに加えて5ライセンスで1万6000円が必要(いずれも税別)。