米シマンテックは2007年5月31日(米国時間)、同社スタッフによる公式ブログにおいて、米テキサス・インスツルメンツ(TI)の関数電卓「TI-89」シリーズに感染するウイルスを確認したことを明らかにした。

 TI-89は、数式処理システムを内蔵した高性能の電卓。グラフなどを表示するディスプレイも備える。プログラムを読み込んで実行することが可能。計算プログラムだけではなく、ゲームなどのTI-89用プログラムも多数存在する。

 今回確認されたウイルスは、実行されるとTI-89上の別のプログラムに自分自身を埋め込んで感染を広げる。また、感染の際には埋め込み方を工夫することで、検出することを難しくしているという。もっとも、検出することが難しい本当の理由は、TI-89上で動作するウイルス対策ソフト(スキャナー)がないことだとしている。

 現時点では、このウイルスの名称は決まっていない。というのも、今回のウイルスは、TI-89以外でも動作する可能性があるためだ。ウイルスの名前には、そのウイルスが動作するプラットフォーム(ハードウエアやOSなど)の名称を含めるのが通例であるため、プラットフォームが確定しないと命名できない。同社では、どういったプラットフォームで動作可能なのか、解析している最中である。