日本インターネットプロバイダー協会,電気通信事業者協会,テレコムサービス協会,日本ケーブルテレビ連盟の4団体は5月30日,「電気通信事業者における大量通信等への対処と通信の秘密に関するガイドライン(第1版)」を策定したと発表した。

 DoS(denial of service)やDDoS(distributed DoS)攻撃,ワームの伝染トラフィック,迷惑メールの大量送信により,インターネット接続事業者(ISP)のネットワークに支障が生じるケースが増えている。サービスの円滑な提供にはトラフィックのしゃ断などの対処が不可欠だが,電気通信事業法の第4条に規定されている「通信の秘密」に抵触する恐れがある。通信の内容を識別してパケットをフィルタリングすることは電気通信事業法上,緊急避難や正当防衛といった理由がなければ認められていないからだ。

 そこで4団体は,電気通信事業法などの関係法令に留意して適法に対処するための参考資料としてガイドラインを策定した。「大量通信によって通信事業者の設備に支障が生じる」や「送信元を詐称したパケットが送信された」といった事態に対処する際の通信の秘密の保護との関係について考え方をまとめてある。

 なお,ガイドラインでしゃ断の対象としている通信は,DoSやDDoS攻撃,ワームの伝染トラフィック,迷惑メールの大量送信などの不正トラフィックで,「P2P」(peer to peer)のトラフィックは対象としていない。

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