ノキア・シーメンス・ネットワークスは5月29日,日本国内のビジネスを本格的に開始すると発表した。
日本と韓国市場の責任者を務めるマイケル・キューナー氏は「日本は世界の中で通信事業者の投資額が高い市場。現状では全世界の売上高に占める日本の比率は低いが,これから伸ばしていきたい」と抱負を語る。
今後,同社が特に注力していく分野は,(1)モバイルWiMAX,(2)DWDM(dense wavelength division multiplexing),(3)GE-PON(gigabit Ethernet-passive optical network),(4)第3世代携帯電話(3G)のネットワークを高度化した「LTE」(long term evolution)──の4種類。
説明会では,モバイルWiMAXの基地局やLTEの端末を使った簡単なデモを披露した。
モバイルWiMAXは,wave1準拠の基地局を置き,モバイルWiMAXの通信機能を搭載した端末やノート・パソコンで映像を表示して見せた(写真1,写真2,写真3)。米スプリント・ネクステルなど海外では既に3社の通信事業者と契約を結んでおり,国内でも出荷できる状態にあるという。
日本は2.5GHz帯の免許方針案で3G事業者が対象外となった(関連記事)ことを受け,「当社は基地局だけでなく,ビジネスモデルの設計から運用システムの提供までを支援できる。ワイヤレス・サービスの経験がない事業者でも当社のノウハウを生かしてスムーズにサービスを開始できる」(日本法人の小津泰史・代表取締役)とアピールした。
一方,LTEのデモでは,LTEとiHSPA(internet high speed packet access)の両方の規格に対応した端末を使い,HDTVの高画質映像を受信しながら双方のネットワーク間をハンドオーバーする様子を披露した(写真4)。LTEは下り最大100Mビット/秒,上り最大50Mビット/秒という高速な通信が可能な規格で,現在3GPPで標準化を進めている段階である。
ノキア・シーメンス・ネットワークスはフィンランドのノキアと独シーメンスが2006年6月に共同で設立した合弁会社(関連記事)。通信事業者向けに,中継伝送装置や基地局といった通信機器,運用システムなどを提供する。世界約150カ国で600社以上の通信事業者を顧客に持ち,2006年度は約171億ユーロ(約2兆7800億円,1ユーロ=163円で計算)の売り上げを見込む。