[画像のクリックで拡大表示]

 日本や欧米の大手メーカーなどが設立した家電向けLinuxのコミュニティ「CE Linux Forum」は5月25日,ホワイトペーパー「コミュニティー型開発スタイルによる組込みソフトウエア開発革新」を公開した。

組込みシステムの課題の解決

 組込み機器開発でのオープンソースとコミュニティ開発のメリットや可能性,CE Linux Forumの成果,組込み危機関連企業の経営や,組織マネージメントに携わる人への提言,組込みソフトウエア開発の現場の技術者への提言などがまとめられている。

 ホワイトペーパーでは,ブラックボックスのないオープンソース・ソフトウエアを,企業や国境の壁を越えたコミュニティで共同開発することによって,ハードウエアを最大限に活かしきる,セキュリティの保証,さまざまなハードウエア環境への適応,長期にわたる利用といった組込みシステムの課題を解決できると述べる。実際にCE Linux Forumの活動が契機となり動作の高速化やバグ修正などが促進され,情報化電機器などに広範に使われてきたことを紹介している。

組込みLinuxが進化から取り残されないために

 ただし「もしここで組込みシステム開発者のLinux開発の進化への参画が低調になるような状況に陥ると,あっという間に進化から取り残されてしまう」と指摘。そのような事態を防ぐために,組み込みシステムの本場である日本から,もっと多くの技術者が,自ら開発したコードをコミュニティに送ることを提言している。

 ホワイトペーパーではコードを送ることのメリットとして,オープンソース開発コミュニティは技術を育てるだけでなく,世界的なソフトウエアの開発への参加は世界最高水準の技術者が育つと指摘。また自社が必要な機能でも,他の開発者と共同開発できるので開発コストを低減でき,開発期間を短縮できる。

 技術が漏洩することを心配するかもしれないが,GPLである以上製品化すればソースコードを公開しなければならず,であれば開発段階で公開することで,他の開発者と共同開発できるメリットが生きてくる。

 そして”Linusの右腕”と呼ばれるLinuxカーネルのリード・メンテナAndrew Morton氏の「完成度の高い巨大なコードは受け取りにくい。もっと気軽にコードをコミュニティに送ってください」というメッセージを紹介。

 経営者には「もしも社内のソフトウエア技術者がオープンソース・コミュニティ活動に参加して開発を進めたいと申し出てきたら是非許してあげてください」と呼びかけている。

◎関連資料
コミュニティー型開発スタイルによる組込みソフトウエア開発革新(CE Linux Forum)