米テラネティクスのカーメル・ダルミア副社長
米テラネティクスのカーメル・ダルミア副社長
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 ツイストペア・ケーブルを使って最大10Gビット/秒を達成する10GBASE-T。Interopではいくつかの企業がスイッチやネットワーク・カードを展示していた。そのコア部品であるPHY(物理層)チップを10GBASE-T製品のほとんどに提供している米テラネティクスのカーメル・ダルミア副社長(マーケティング担当)に話を聞いた。

製品の特徴は。

 1チップでPHYのすべての機能を提供していることと,一般的な半導体チップで使われるCMOSでチップを作れることだ。こうした特徴を持ちながら,大量生産を開始しているのは我々だけだ。確かに,10GBASE-TのPHYチップは米ソーラーフレア・コミュニケーションズという会社も提供を始めている。しかし,同社の製品は複数チップで構成されており,CMOSで作れないと聞いている。量産した場合のコストは我々の方が各段に安い。

標準化から1年近くがたとうとしているのになぜそんなに競合ベンダーが少ないのか。

 実装がケタ違いに難しい。800MHzで変動する信号を100m先まで到達させなければならない。相互干渉や反射など非常に信号状況が劣悪になる。高度なエコー・キャンセルの技術や相互干渉軽減技術であるパワー・バックオフを実装しなければならない。これが非常に難しい。当社のCTO(最高技術責任者)はこうした技術を元々持っており,10BASE-Tの標準作りに大きく貢献した。CTOは仕様書の編集長でもある。

では,競合他社は当面は出現しないということか。

 そうではないだろう。製品を発表していないが,米ブロードコムが間違いなく製品を投入するだろう。そうなれば強敵になる。

10GBASE-Tの使いどころは。

 現在見えている主用途は,データセンターだろう。光ファイバと比べてツイストペアは扱いやすいので,ラック内の引き回しに使える。企業のサーバー・ファームなどでも使うことがあるだろう。

デスクトップ・パソコンで使われることは。

 そんなに大容量が必要だとは思わないので,技術的な観点からはNOだ。しかし,1000BASE-Tも米アップル・コンピュータが採用したことで一気にデスクトップに広がった。こうしたマーケティングの要素で世の中のトレンドは変わるので,何とも言えないというのが正直なところだ。