米Microsoftは,認証情報(ID)共有仕様「Identity Selector Interoperability Profile(ISIP)」を技術開示宣言「Open Specification Promise」(OSP)に従ってライセンス・フリーで提供する。Microsoftが米国時間5月23日に明らかにしたもの。

 OSPは,Microsoftが2006年9月に発表した技術開示に関する宣言(関連記事)。「Microsoftが実装に必要な特許の権利を所有していても,その実装物の作成者や販売者を特許侵害で訴えない」(Microsoft)というもので,第1弾として35種類のWebサービス関連仕様を対象とした。同年10月には仮想マシン用ファイル形式「Virtual Hard Disk」(VHD)の仕様と,電子メール認証技術「Sender ID Framework(SIDF)」への適用を発表した(関連記事:VHDSIDF)。

 ISIPを利用すると,クライアント・コンピュータ間でプラットフォームに依存せず認証情報のやり取りが可能になるという。OSPを適用したことで,オープンソースおよび商用のソフトウエアに無料で実装できる。さらに,特許侵害で訴えられる恐れもなくなる。

 またMicrosoftは,「Information Card」と呼ぶ認証情報の処理が可能なソフトウエアに関する4つのオープンソース・プロジェクト「JInformationCard」「Information Card」「Information Card Java」「Information Card Ruby」を運営する。対象は「Sun Java System Web Servers」「Apache Tomcat」「WebSphere Application Server」「Ruby on Rails」「Apache」で,プログラミング言語はJava,Ruby,PHP,C。

 さらにMicrosoftは,「Microsoft Identity Lifecycle Manager(ILM)2007」用のOpenLDAPアダプタを提供するオープンソース・プロジェクトに,KERNEL NetworksおよびOxford Computer Groupと共同で取り組む。

 ILMは,電子証明書やスマートカードなどを使ったユーザー認証を可能とする製品。一方のOpenLDAPは,オープンソースのディレクトリ・サービス構築ソフトウエア。ILM用OpenLDAPアダプタを利用すると,OpenLDAPのID情報をさまざまな環境で双方向に同期しやすくなるという。

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