NECは5月23日,5月25日に発売する「N904i」の紹介イベントを開催(写真1)。同社の携帯電話のデザイン方針やNEC携帯の今後について,同社モバイルターミナル事業本部の佐藤敏明チーフクリエイティブディレクター(写真2)が説明した。
NECは2006年7月,技術とデザインを橋渡しするためにクリエイティブスタジオと呼ぶ新しい組織を設立した。このクリエイティブスタジオの中心となっているのが佐藤ディレクターだ。佐藤ディレクターは,クリエイティブスタジオ発足と同時にソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズからNECに移籍。ソニー・エリクソン時代にも様々な携帯をデザインした実績を持つ。
佐藤ディレクターは,「“デザイン(Design)”とは,“De(否定・反対)”+“Sign(記号)”の意味で,日常で常識としてとらえている視点を見直してみること」と独特の哲学を披露。「新しい時代を先取りするデザインによって,次のモバイルの世界を作り上げていく」と語り,ともすれば変わらないイメージでとらわれがちなNECの携帯を大きく変えていく方針を強調した。
NEC内では,佐藤可士和氏のデザインによる「N702iD」の発売以降,デザインの重要性が再認識されているという。最新機種であるN904i(写真3)は,イタリアのデザイナーであるステファノ・ジョバンノーニ氏がデザインするなど,変化の一端は見え始めている。佐藤ディレクターは「クリエイティブスタジオの発足以降,スタッフの意識も大きく変わってきている」と語り,外からも中からも変化が訪れている点をアピールした。
今後のデザインの方向性について佐藤ディレクターは,「ユーザー視点で考えると,十人十色のようなデザインの多様化は欠かせない。エクステリア(外観)に加えて質感,さらにはGUIなどにも着目している。それらをシミュレーションしている段階」と語った。
なおシャープやソニー・エリクソンの携帯電話が「AQUOS」や「BRAVIA」といった自社の家電商品のブランド名を冠してきていることについて,同社のモバイル事業部の小島立・事業部長は「NECも何らかのワードでNECらしさを表現できる言葉が必要だと思う」という考え方を述べた。