「日本版SOX法(J-SOX)のために、新たに内部統制を整備する必要がなくなった」--。米国市場に上場し、米SOX法(2002年サーベインズ・オクスリー法)の適用対象となっている企業の間に、安堵感が広がっている。金融庁が公表した内閣府令の草案において、「米SOX法向けに作成した内部統制報告書を、日本版SOX法の内部統制報告書として提出することができる」と明記されたからだ(関連ニュース「金融庁が「内部統制報告書」の書き方を公表,評価結果は4段階で表示」。内部統制関連の詳細情報は「内部統制.jp」を参照)。

 金融庁が公表した内閣府令の正式名称は、「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令案」。5月17日に公開され、6月18日までパブリック・コメントを募集している。

 これまで日本版SOX法では、米SOX法適用企業の扱いを明確にしていなかった。日本に約30社あるNYSE(ニューヨーク証券取引所)やNASDAQ(店頭公開市場)上場企業は、日・米の両基準に合わせて、内部統制を整備しなければならない可能性があり、「2重に関連文書などを整備しなければならい」ことを懸念することが強かった。そのため日本経済団体連合会に所属する米SOX法適用企業は、米SOX法向けに作成した内部統制報告書を日本でも認めるように金融庁に要請していた。

 内閣府令案は、米SOX法対象企業の扱いのほかにも、日本版SOX法について3つの詳細事項を明示している。1つは、内部統制を整備する際に準拠すべきフレームワークは、金融庁が2月15日に公開した「財務報告にかかる内部統制の評価および監査の基準(以下、基準)」と、基準の実務上の指針(ガイドライン)である「同 実施基準(以下、実施基準)」だと認めたこと。日本版SOX法の適用対象企業は、基準と実施基準を参考に、財務報告にかかる内部統制を整備する必要がある。

 2つ目は、日本版SOX法適用企業が作成する「内部統制報告書」と、内部統制報告書を監査する監査法人がが作成する「内部統制監査報告書」の様式の明示。基準や実施基準にのっとり、記述事項を詳細に示している。最後は、日本版SOX法の適用時期を「2008年4月以降に始まる事業年度から」であると初めて公的に示したことである。