第1回会合終了後に会見を開いた委員会のメンバー
第1回会合終了後に会見を開いた委員会のメンバー
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 放送業界の第三者機関である放送倫理・番組向上機構(BPO)が設立した新組織「放送倫理検証委員会」は2007年5月23日に,第1回会合を開催した(写真)。今回の会合では,TBS系の情報・報道番組「みのもんたの朝ズバッ!」(放送時間は毎週月曜日から金曜日の午前5時30分から8時30分)における「不二家報道問題」を,委員会で審理するかどうかを議論した。

 具体的には,TBSから同問題に対する報告書や該当する番組を収録したビデオなどを提出してもらい,審理入りの是非を検討した。しかし時間切れで結論は出ず,6月8日に開催される第2回会合で引き続き議論し,審理入りの是非を判断することになった。

 BPOの放送倫理検証委員会は,虚偽の内容によって視聴者に著しい誤解を与えた疑いがある番組が放送されたときに,放送倫理上の問題があったかどうかを審理して,「勧告」または「見解」を公表する。必要な場合は,該当する放送事業者に対して再発防止策の提出を求めることができる。総務省による新たな行政指導という番組への権力の介入を防ぐために立ち上げた組織である。

 委員会の第1回会合で検討された不二家報道問題とは,2007年1月22日の「朝ズバ」の放送で不二家の元工場従業員の証言を元に,「賞味期限が切れたチョコレートを回収して牛乳と混ぜ,商品として再出荷する作業を日常的に行っていた」と放送した。さらに,司会のみのもんた氏はこの内容を受けて,「不二家は廃業してもらいたい」とまで言い切った。

 不二家から抗議を受けたTBSは4月18日の放送で,「元従業員の証言は,事実であるという確証を得たものではない」などと報告して,不二家に謝罪した。しかし,4月27日の定例会見でTBSの井上弘社長が「証言の根幹部分は信用性が高い」と発言し,「不二家信頼回復対策会議」の元議長である郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授などが,BPOに対して審理を要請していた。