秋田県北秋田市は5月21日、11万7022項目の個人情報漏洩があったことを発表した。これが何人分の情報にあたるかは、現時点では把握していないという。流出元は、愛媛県愛南町や山口市、長崎県対馬市の個人情報を漏洩させたパソコンと同一だ(関連記事)。

 情報漏洩を起こしたパソコンは、「山口電子計算センター(以下、YCC)」の北九州事業所に勤めていた元女性従業員の私物。同社は山口市に本社を構える従業員9人のITベンダーである。女性従業員は自宅に個人情報を持ち帰り、パソコンにコピーしていた。このパソコンでファイル交換ソフト「Winny」を利用するなかで、ウイルスの「アンチニー」に感染。個人情報が入ったファイルがWinnyネットワークに流出した。

 北秋田市は2004年、旧4町の合併に伴う住民系システム統合作業において、うち2町分をNEC秋田支店に発注。NEC秋田支店はデータ移行作業をYCCに再委託した。だが北秋田市は、この再委託の事実を「知らなかった」(同市企画部)。

 契約上は再委託に関する条項が盛り込まれていなかったものの、北秋田市企画部は「住民の個人情報を扱うという性格上、再委託は一般的にありえないと認識している」との見解を示す。一方のNECは「当社の委託先の情報管理が不行き届きであったことから北秋田市と同市市民の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことを真摯に反省致しております」(広報)とコメントしている。今回、一連の情報漏洩の報道を受けて、NECが流出を調査。北秋田市に16日から適宜報告を続けていた。

 北秋田市の漏洩した個人情報は、04年11月ごろの住民情報。NECに発注した旧2町の住民の、住所、氏名、性別、生年月日、住民票コード、印影を含まない印鑑登録情報、転出入に関する異動履歴情報、本籍の変更や除籍などに関する除票改製原情報など。合計の項目数は11万7022項目に上る。同市企画部は「個人情報は虫食いの状態で流出したと聞いているが、人数は確認できていない」。ただ、711人分は、住所、氏名、性別、生年月日がすべてそろった状態だという。北秋田市役所には、市民からの数件の問い合わせがあるという。