アクセンチュアは5月21日、日本の大企業の管理職に対してITに関する意識をアンケート調査し、米国での調査と比較した結果を発表した。「この2~3年でITに基づく生産性は向上したか」との問いに、「向上した」と答えた米国企業は75.5%だったのに対し、日本企業は52%にとどまった。日本では、ITによる企業の生産性向上を実感していない管理職が多い、と結論づけている。

 日本での調査は2006年9~10月にかけて、売上高5億ドル(約600億円)以上の大企業を対象に実施、IT部門の管理職115人、ITを利用する立場の管理職117人から回答を得た。これを2004年に実施した米国での調査結果と比較した。

 アクセンチュアは、ITによる生産性を実感できていない背景として、ビジネスとITが乖離していること、業務部門のITへの関与が弱いこと、などを挙げている。「IT投資と経営目標との整合性がとれているか」との問いに、「とれている」と答えた米国企業は83%。日本企業では38%だけだった。また、「IT投資と経営目標との整合性をとることは困難か」との問いに、日本企業の54%が「難しい」と答えたのに対し、米国企業では35%だけだった。

 「経営層とCIO(最高情報責任者)が緊密に連携しているか」との問いに対する「当てはまる/ある程度当てはまる」の答えは、日本の43%に対し、米国では79.5%に達した。同様に「業務部門がIT予算の計上に積極的に参加あるいは貢献している」の設問では、日本が18%、米国では61%。「IT投資が企業価値の創出や生産性の向上をもたらすよう、十分な時間をかけている」という設問では、「当てはまる/ある程度当てはまる」の答えが日本では22%、米国では83%だった。

グラフ
調査期間:2006年9~10月/対象:売上高5億ドル(約600億円)以上の大企業

 以上の結果を踏まえ、アクセンチュアの沼畑幸二テクノロジーコンサルティング統括エグゼクティブ・パートナーは、「ITによる生産性向上を実感するためには、4つのポイントを押さえる必要がある。1つはCIO、IT部門の役割・ミッションを明確にすること。2番目はIT投資のマネジメントを確立すること。3番目はIT人材の育成・待遇改善に思い切った手を打つこと。最後が全社的なインフラにメスを入れるようなマスター・プランを持つことだ」と提言した。