写真1 WinHEC 2007で基調講演するビル・ゲイツ会長(撮影:刀根 裕司)
写真1 WinHEC 2007で基調講演するビル・ゲイツ会長(撮影:刀根 裕司)
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写真2 Windows Vista搭載製品を披露(撮影:刀根 裕司)
写真2 Windows Vista搭載製品を披露(撮影:刀根 裕司)
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写真3 開発中のWindows Home Serverのデモも披露(撮影:刀根 裕司)
写真3 開発中のWindows Home Serverのデモも披露(撮影:刀根 裕司)
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写真4 次期サーバー製品(開発コード:Longhorn)の正式名称を公表(撮影:刀根 裕司)
写真4 次期サーバー製品(開発コード:Longhorn)の正式名称を公表(撮影:刀根 裕司)
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 2007年5月15日から17日まで、米国ロサンゼルスにおいてWindows向けハードウエア開発者会議「Windows Hardware Engineering Conference(WinHEC 2007)」が開催。約2700人が参加し、5つの基調講演のほか、仮想化技術、メモリー管理、ストレージ、ホームメディアなどに関するさまざま分科会が開かれている。

 初日は午前9時のビル・ゲイツ会長の基調講演から始まった(写真1)。

 ゲイツ会長はまず、今年で16回を迎えたWinHECが、いまやPCを超えて携帯電話、携帯機器、テレビ、自動車内のインテリジェント機器までを含む幅広い分野をカバーする会議に拡大したと解説。さまざまな機器によって生み出されたエコシステムの中で、今年発売したWindows Vistaと2007 Office system(Office 2007)がモメンタムを作りつつあることを強調した。

 ゲイツ会長によると、Vistaは発売後100日間で4000万本を売上げ、Windows XPの2倍の速度で広まっているという。

 ステージ上には、Vista搭載の各社製品を並べた(写真2)。韓国サムスン電子のウルトラモバイルPC、富士通のタブレットPC、台湾エイサーとドイツBMWが共同開発したセラミックきょう体のPC、Vistaのサイドショー機能をラップトップのカバー部分に別スクリーンで配した米インテルのコンセプトPCなどである。ゲイツ会長はVistaの浸透ぶりを誇示しつつ、ハードウエアの形状が多様化していることを説明した。

 こうしたなか、ゲイツ会長はマイクロソフトの役割が「安全なネットワークに接続された複数のデバイスやPC上で、Vistaを楽しめるようにするインフラ作り」だと繰り返し、「Works with Windows Vista」や「Certified for Windows Vista」ロゴによる認証制度に則って、各社が外部機器の開発を推進していくことを促した。

ホームネットワークに革新を

 前回のWinHECで構想を発表した「Windows Rally(ラリー)」は、Wi-Fi仕様のホームネットワーク機器を設置し、そこにメモリーデバイスやカメラなどを無線で接続・設定(プラグ&プレイ)する技術。デバイスの認識、コンフィギュレーション、管理などが自動的に行われ、ユーザーはキーボード入力なしに、アイコンをクリックするだけで済む。今回のWinHECでも、Windowsラリーの利便性をデモした。デモでは、ルーターのセットアップからカメラの接続、デジタル写真立てなどへの画像の転送をそれぞれ10数秒でやってみせた。

 高画質映像を簡単に転送するデモも披露。台湾ディーリンクのメディアブリッジ2台を、それぞれテレビとPC側に接続し、データを瞬時に転送した。

 現在開発中で、今秋の発売を予定しているWindows Home Serverについて、すでに表明していた米ヒューレット・パッカードに加えて、米ゲートウェイなど3社が新たにライセンスに参加したことも公表。デモでは、「Windows Home Console」と呼ぶネットワーク管理機能を使うと、子供がファイアーウオール機能を停止したことを自動的に認識したり、その罰に音楽ファイルへのアクセスを禁止したりできることを示した(写真3)。複数のPCのバックアップも毎日自動的に行われる。ドメインネームを無料で取得でき、Windows Home Serverに保存したデータには外からもアクセスが可能になる。

Longhornの正式名称が決定

 ゲイツ会長は、開発コード「Longhorn(ロングホーン)」と呼んできたサーバー製品の正式名称を「Windows Server 2008」にしたと公表(写真4)。3週間前に発表したベータ版(ベータ3)は、すでにダウンロードが10万を数えるという。発売は2007年末。Windows Server 2003と比べて1000件以上多い4000件ものポリシーを設定できるなど、セキュリティー機能を強化しているのが特徴だ。

 ゲイツ会長は、今後のキーとなる5つの技術革新について触れて講演を締めくくった。

 一つは64ビット環境の浸透である。64ビット環境は、数年後にデスクトップ、ラップトップ、携帯機器に完全に行き渡ると予測した。二つめはハードウエア形状のさらなる多様化、三つめは音声認識を含んだユーザーインタフェースの成熟化を挙げた。加えて、VoIPとユニファイド・コミュニケーション(unified communication)の進展、インターネットの「Live」化を図るための巨大なデータベースセンターと信頼性を向上させる技術、ローカルストーレージ技術などの進化が鍵を握るとした。

■変更履歴
WinHECの正式名称をWindows Hardware Conferenceとしていましたが、正式にはWindows Hardware Engineering Conferenceです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/05/17 13:20]