Channel.isのトップページ。左側の青いボタンは視聴用。配信したい場合は、右側のオレンジのボタンをクリック
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Channel.isが実験的に配信している、モータースポーツレース「SUPER GT」の映像
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 ウタゴエは2007年5月15日、手軽に大規模なライブ配信を可能にするサービス「Channel.is」を公開したと発表した。手持ちのパソコンから、1万人規模のユーザーに対してほぼ同時に映像を配信できる。現時点では試用版のため配信時間を30分に限定しているが、2007年7月には配信時間を無制限にした有償サービスを開始する。利用料金は「1年当たり数十ドル(日本円で数千円)になる」(園田智也社長)予定だ。

 Channel.isは、コンテンツの配信にピア・ツー・ピア(P2P)技術を用いている。視聴するユーザーからユーザーへとコンテンツを受け渡すため、大規模な配信サーバーを構築しなくても多人数にライブ配信できる。その結果、配信コストが抑えられるというメリットがある(関連記事)。ウタゴエはこの仕組みを用いたコンテンツ配信システム「Ocean Grid」を自社開発しており、従来も同社が運営するコミュニティサイト「Looc」においてライブ映像の視聴を可能にしていた。

 今回はこれを一歩進め、ユーザーによる映像配信サービスを開始した。ユーザーは、Channel.isのWebサイトでIDを取得すればよい。配信に必要なソフトウエアも無償配布しており、手持ちのパソコンを使って配信を始められる。ウタゴエは、ユーザー自身で配信する方法だけでなく、同社が配信を請け負ったり、Ocean Grid自体を提供するなど、配信者のニーズに応じて多様なシステムを提供していく予定という。

 Channel.isは、情報処理推進機構(IPA)の技術者育成事業「2006年度上期未踏ソフトウェア創造事業」での成果を取り込んでいる。その成果は、同社の最高技術責任者である首藤一幸氏らが「実ネットワークに適応するオーバレイマルチキャスト放送基盤」というプロジェクトで開発したもの。

 従来のOcean Gridが、木(ツリー)状にP2Pネットワークを構成し、幹に近い位置にあるパソコン(ノード)から末端のノードにコンテンツを受け取る仕組みだったのに対し、今回はネットワーク構成を網の目(メッシュ)状に変更。「最も大きな目的は安定性の向上」(首藤氏)で、どこか一つのノードの接続が切れても、網の目のようにつながっている別のノードからすぐにコンテンツを受け取れるようにした。首藤氏らは、同日IPAが発表した「天才プログラマー/スーパークリエータ」にも認定された(関連記事発表資料)。