イー・アクセスは2007年5月14日、2006年度(2006年4月~2007年3月)の連結業績に関する説明会を開催した。この中で同社は、携帯電話事業を運営する子会社であるイー・モバイルの2007年4月末時点の契約数が約3万件であることを明らかにした。

 イー・モバイルの携帯電話事業は、2007年3月31日に商用サービスを開始して以来1カ月強が経過したところ。サービス開始直後の1カ月間の立ち上がりについて、「2007年度末(2008年3月末)の目標契約数は30万件。最初の1カ月で3万件というペースはほぼ予想通りの進ちょくと言える。今後、サービスエリアの広がりとともに契約数の伸びも加速すると考えている」(イー・モバイル 代表取締役社長兼COOのエリック・ガン氏)と、順調であることをアピールした。

 3万契約の内訳は、シャープ製スマートフォン「EM・ONE(エムワン)」とデータ通信カードがほぼ半数ずつという。「単価が安く購入しやすいデータ通信カードの方が比率が高くなると予想していたが、EM・ONEが予想以上に伸びた。特徴のないデータ通信カードより、独自商品であるEM・ONEが売れたことは、宣伝効果という点でも結果的にプラスに働いたと考えている」(ガン氏)。とはいえ今後は、サービス開始直後の盛り上がりが一服すればデータ通信カードの比率が上昇してくるとみており、「現行の事業計画ではEM・ONEが3分の1、データ通信カードが3分の2と見積もっている」(ガン氏)と言う。

120億円分のイー・モバイル株を売却

 この日発表したイー・アクセスの連結決算(PDF形式の発表資料)では、売上高が対前年度比7%減、営業利益が同89%減、純利益が同82%減の減収減益となったが、これはイー・モバイルへの設備投資の負担が重かったため。本業であるADSLビジネスは、利益が前年比7.4%増と収益性が向上した。

 イー・モバイルは通信網の構築などに、2012年度までに2500億円の設備投資を計画しているが、既に事業資金として約3600億円の調達を済ませている。また、イー・アクセスが保有しているイー・モバイル株の一部を米ゴールドマンサックスに売却し、イー・モバイルを連結対象から除外することも明らかにした(発表資料)。売却株数は10万株で、出資比率で5.9%相当。イー・モバイル関連の負債を貸借対照表から切り離すことでイー・アクセスの財務状況を改善するほか、売却益120億円の一部を配当原資とする。イー・アクセスの出資比率は43.5%から37.6%に減少するが、筆頭株主の地位は維持する。ゴールドマンの出資比率は29.8%から35.7%に上昇する。

 これにより、イー・アクセスは年間配当を前年よりも500円増やし1800円とした。「イー・モバイル事業は赤字だが、現段階ではこれ以上の資金投入は不要と考えており、純利益を配当に多く振り向けてもイー・モバイルの事業に支障はない。海外株主を中心に配当性向を高める声が強いことに配慮した」(ガン氏)としている。