日本AMDは2007年5月14日、デスクトップパソコン向けの新CPUブランド「Phenom(フェノム)」を発表した。2007年後半に投入予定。今回はブランドのみの発表のため、具体的な動作周波数などの詳細情報は、製品の正式発表時に公開する。
Phenomのラインアップは3つある。性能が高い順に「Phenom FX」「Phenom X4」「Phenom X2」。Phenom FXとPhenom X4はCPUコアを4つ持つクアッドコアCPUで、Phenom X2はCPUコアを2つ持つデュアルコアCPUとなる。Phenomというブランド名の由来は「驚くべき、驚異的な」という意味を持つ英単語「phenomenal」を語源としている。
共通の特徴として、従来64ビットだった浮動小数点ユニットを128ビットに強化したほか、共有型の3次キャッシュを備える。CPUコア内に1次キャッシュ、各コアにそれぞれ2次キャッシュ、そして複数コアが共有する3次キャッシュという構成になる。
Phenom FXとPhenom X4は、4つのCPUコアを高速バスで接続した構成を採るという。インテルが先行して投入したクアッドコアCPUは、デュアルコアCPUを2つ組み合わせたような簡単な設計で、それぞれのデュアルコアCPUを、CPUの内部バスよりも遅いFSB(フロントサイドバス)でつなぐ。日本AMDは「インテル製クアッドコアCPUは処理性能においてFSBがボトルネックになるが、AMD製のクアッドコアCPUはそういうことがない」と主張している。
Phenom FXは、一つのマザーボード上に2つのCPUを搭載できるプラットフォーム「Quad FX」に対応。つまり、最大8つのCPUコアを搭載可能である。対して、Phenom X4はQuad FXに対応せず、利用可能なCPUコアは最大4つとなる。
Phenomの登場により、AMDはデスクトップパソコン向けCPUのラインアップを刷新する。ゲーマー向けの高性能製品は従来の「Athlon 64 FX」から「Phenom FX」に、一般ユーザー向けの製品は「Athlon 64 X2」から「Phenom X4」「Phenom X2」に切り替える。さらに。Phenom X2の下位製品として、45Wと低消費電力(TDP)の「Athlon X2」も近い将来投入する予定。低価格製品の「Sempron」は、同じ位置付けで引き続き販売する。
AMDは2007年後半に、サーバー向けのクアッドコアCPU「Barcelona(開発コード名)」も投入する。BarcelonaはPhenomの投入よりも若干早い時期を予定している。
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