総務省は5月11日,指定電気通信設備制度の見直しなどを検討する「新しい競争ルールの在り方に関する作業部会」を開催した。第6回会合の今回は,前回に引き続いて事業者へのヒアリングを実施。イー・アクセスとウィルコム,テレコムサービス協会(テレサ協),日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA),モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が,「新しい競争ルールの在り方」についてプレゼンテーションした。

 イー・アクセスは,(1)NTT東西地域会社が持つ光ファイバの開放義務の維持,(2)NTTが光ファイバの「PON」システムを貸し出す際、現行の8分岐単位からバラ貸しを可能に,(3)課金や認証などのプラットフォーム機能のオープン化を踏まえ垂直的市場統合の進展に対応した競争ルールの確立--などを主張。ウィルコムは,PHS網の構築に当たって,NTT東西のISDN回線を利用してきたため,「これまでの第一種指定電気通信設備制度は有効であった」と評価し,「今後は設備による規制ではなく,機能などに着目した上で現行制度の見直しが必要」と述べた。

 テレサ協も,イー・アクセスやウィルコムと同様にプラットフォーム機能のオープン化を要望し,JAIPAは「IP化が進んでもアクセス網がボトルネックであることは変わらない」と述べるなど,各社の主張は似通ったものになった。

 そのなかで,プラットフォーム機能に着目しつつも,やや踏み込んだ主張を見せたのはMCF。モバイル・コンテンツ関連のビジネス拡大に向け,携帯電話の識別情報(ユーザーID)をプラットフォーム機能のオープン化の一環として開放してほしいと訴えた。「現状では,課金や回収を携帯電話事業者に依存するしかない」(MCF)。

 その後の作業部会の構成員を交えた議論で白熱する場面があった。部会は、大学教授などの有識者などで構成。構成員がプレゼンを実施した事業者に対して「競争ルールを議論する場なので,もっと具体的に『何をどうしてほしい』という点を明示しなければ,議論ができない」などと厳しく指摘。

 その影響で,イー・アクセスが主張したPONの1分岐貸しにも話が飛び火。本来は,総務省の情報通信審議会電気通信事業部会の「接続委員会」で話し合ってルール化するテーマである。しかし一時,構成員やNTT,イー・アクセス,ソフトバンクテレコムで,PONの貸し出し形態の是非について議論が集中した。

 このように第6回会合は全般的に,議論が拡散したまま幕を閉じた。次回の会合は5月25日で,論点整理をする予定。