写真 NTT持ち株会社の和田紀夫社長
写真 NTT持ち株会社の和田紀夫社長
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 NTT持ち株会社は5月11日,2006年度(2006年4月~2007年3月)のグループ連結決算を発表した。売上高は対前年度比0.2%増の10兆7606億円,営業利益は同7.0%減の1兆1070億円の増収減益だった。

 NTT持ち株の和田紀夫社長(写真)は,目標の増益を達成できなかった理由として,「Bフレッツの拡販で販売・受付体制の充実に費用をかけたほか,NTTドコモがMNP(携帯電話の番号ポータビリティ)の劣勢を挽回するために想定よりも拡販に費用をかけたため」と説明する。それに対して売上高は,音声系収入の減少をIP系収入の増加でカバーするには至っていないものの「NTTデータのシステム・インテグレーションが好調で3年ぶりの増収を確保できた」(和田社長)としている。

 2007年度の業績予想は売上高が2006年度比0.6%減の10兆7000億円,営業利益は同0.3%増の1兆1100億円で,減収増益を見込む。これはNTTドコモの影響が大きい。MNPの競争激化で売上高は減収に転じる見込みだが,端末プラットフォームの共通化による開発費の圧縮などにより,営業利益はわずかながら増える見通しである。なお,2007年度後半に商用サービスを開始するNGN(次世代ネットワーク)の収入は上記の数値に見込んでいないという。

 会見では,NTT東西地域会社が提供するFTTHサービス「Bフレッツ」についても言及した。Bフレッツは,2006年度に266万契約の純増を達成。年度目標の270万契約には届かなかったものの,2005年度の純増数(175万契約)を大きく上回る結果となった。2007年3月末時点の契約数は約608万。2007年度は,NTT東日本で200万契約,NTT西日本で140万契約の合計340万契約を上積みし,2008年3月末時点では合計で約948万契約の達成を目指す。

 順調な増加を見込むものの,NTTグループが打ち出している「2010年に光3000万」という目標を考えると,達成にはなお厳しさが残る。和田社長も2007年2月に開催した定例会見で,「Bフレッツの伸びが頭打ちの傾向にある」と弱気な発言をしていた(関連記事)。

 ところが今回の決算発表では一転,和田社長は明るい見通しを示した。「最近は『YouTube』のような動画共有サイトが国内外で数多く登場してきた。プロ野球やサッカーなどのスポーツ番組をインターネット経由で配信する動きも出てきている。今後,NGNのサービスやIPTVの展開も控えており,光サービスの需要は一層喚起されると期待している。2010年に光3000万という旗を降ろすつもりはない。むしろ光の展開は早まるのではないかと考えている」(和田社長)とした。

[NTT持ち株会社の2006年度決算のページ]