写真1:Mac Zoo '07 in AKiBAの会場風景
写真1:Mac Zoo '07 in AKiBAの会場風景
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写真2:大塚商会テクニカルプロモーション部アップルグループの小林徹課長代理
写真2:大塚商会テクニカルプロモーション部アップルグループの小林徹課長代理
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 World PC EXPOやCOMDEX Japan,Mac World Expo,Windows World Expo--。1990年代には盛況だった「パソコン展示会」も,今ではすべて日本から姿を消してしまった。そんな2007年の5月9~10日,大塚商会がMac専門のパソコン・ソリューション展示会「Mac Zoo '07 in AKiBA」を東京・秋葉原で開催した。

 Mac Zoo '07 in AKiBAの会場は,秋葉原駅前の「秋葉原ダイビル」内にある「秋葉原コンベンションホール」(写真1)。会場の規模としては,往年のパソコン展示会の十分の一にも満たないが,アップルのほかアドビシステムやクォークジャパン,マイクロソフトといったソフトウエア・ベンダー大手,キヤノンやセイコーエプソン,日本ヒューレット・パッカードといったプリンタ大手,日本IBMやサイボウズといったシステム・インテグレータなど42社が出展。合計20コマのセミナーも別途開催されるなど,立派に「展示会」として成り立っていた。

 取材に訪れた5月9日の午後は,平日ということもあって決して「大盛況」という訳ではなかった。それでも,展示会場を午後8時30分まで開くなど平日なりの集客の工夫を凝らし,セミナー受講の事前登録者は延べ人数で2000人に達したという。

 今なぜ大塚商会が,「パソコン展示会」を新規に始めたのか。同社テクニカルプロモーション部アップルグループの小林徹課長代理(写真2)は「大塚商会のアップル関連事業の売り上げはここ3~4年じわじわと増えており,Macのセキュリティ対策などを相談される顧客企業も増えている。その一方で,アップル関連のソリューションを総合的に見せられる『場』が,まったく無くなってしまった。1社だけでセミナーを行っても集められる顧客企業の数は限られているので,様々なベンダーに呼びかけたところ,40社を超える賛同が集まった」と説明する。

 小林課長代理によれば,同社のアップル関連事業の売上高は1998年をピークに,その後長らく減少傾向にあった。しかし2000年代半ばから徐々に盛り返しつつあるという。Macに関連するシステム・インテグレーションの案件も増えつつある。小林課長代理は「ビジネスに使うメインのパソコンはWindowsでも,広告部門やデザイン部門で,Macを大量に導入している企業は多い。そういう顧客企業から『セキュリティ対策はどうしよう』といった相談を受けることも増えた」と説明する。

 また2007年は,従来のPowerPCプラットフォームからIntelプラットフォームへの移行期にあたる。「ちょうど5月に,アドビシステムズの製品群(Adobe CS3)も,Intelプラットフォームに完全対応したところ。かなり前から,Adobe CS3の発表がこの時期になると見込まれていたので,Intelプラットフォームへの移行の商談もにらんで,Mac Zooの開催時期を5月にした」(小林課長代理)という。

Mac対応の操作ログ記録ソフトを発売するベンダーも

 Mac Zooの開催に合わせて,新製品を発表するベンダーもあった。インテリジェントワークスでは,Mac OS 9/Mac OS XとWindowsに対応したパソコン操作ログ管理ソフト兼IT資産管理ソフトの「Contents Watcher Smart」を発表。いわゆるクライアント・サーバー型のパソコン管理ツールで,各クライアント・パソコンにおける操作ログをサーバーで一元管理し,セキュリティ上問題のある行為が行われた場合に,システム管理者にメールで警告を発するといった機能を搭載する。

 Contents Watcher Smartはほかにも,ピア・ツー・ピア(P2P)・アプリケーションの実行を禁止したり,P2Pアプリケーションをクライアント・パソコンから自動的に削除したりする機能や,セキュリティ修正プログラムを自動配布する機能,問題のある操作が行われた前後1分間の画面のスクリーンショットを保存する機能なども搭載する。Mac Zooに出展したインテリジェントワークスの藤井実彦営業部長は「プライバシーマークの取得や,日本版SOX法への対応のためには,操作ログ監視ツールの導入が求められるが,当社が調べた限りでは,Macに対応した操作ログ監視ツールはなぜか今までなかった。Mac OS Xだけではなく,Mac OS 9やWindowsにも対応したツールはこれが『業界初』」と訴える。

 既にWindows分野では,ログ監視機能を備えたクライアント管理ソフトウエアがかなり普及しているが,マイクロソフトの「Active Directory」や「Systems Management Server」などがシェアを徐々に伸ばしているのが実情。「サード・パーティ製のクライアント管理ソフトウエアを売っていくなら,Macの方が有望と考えた」(藤井営業部長)という。Contents Watcher Smartの管理サーバー・ソフトウエアは,LinuxまたはMax OS X Server上で稼働し,クライアント・ソフトウエアはMac OS 9,Mac OS X,Windows 98/Me/2000/XP/Server 2003に対応している。価格はサーバー・ソフトウエアが150万円で,別途クライアント1台当たり1万9800円のクライアント・ライセンスが必要。製品は5月後半に出荷を開始する。

 Windowsクライアントのような集中管理があまりされてこなかったMacだが,Mac OS X Serverにはディレクトリ・サーバー機能が標準で搭載されており,Macのクライアント管理やセキュリティ対策に全社的に取り組む企業も増えている。大塚商会でもアップル認定資格を持つシステム・エンジニアの数を増やすなどしており,Mac Zooの開催を足がかりにアップル関連のシステム・インテグレーション事業を強化していく考えだ。