茅ヶ崎市は9日、5月7日に市民に送付した固定資産税と都市計画税の納税通知書4万1571通すべてに印刷ミスがあったことを発表した。納税通知書に記載してある納税額と、コンビニエンス・ストアで納付するためのバーコードにおける金額が相違するというもの。市はお詫びの文書を送付済みで、郵便局や銀行などコンビニ以外での支払いを呼びかけている。問題は8日に市民からの連絡で発覚し、10日現在で100人程度が間違えた額での支払いを済ませているという。

 金額を間違えたのは、印刷すべき通知書を取り違えたため。税金を4期で分納できるようにするため、通知書は4枚ある。それぞれの納税額は、年間納税額を4等分した金額。端数は第1期に計上する。今回、第1期の通知書に第2期の額のバーコードを印刷してしまった。同様に、第2期の通知書には第1期の額のバーコードを、第3期には第4期を、第4期には第3期を印刷した。

 今回のトラブルの発端は、今年度から通知書の封入方法を変更したこと。4枚を綴じこんである冊子状から、4枚ばらばらの形にした。茅ヶ崎市は2004年度からコンビニでのバーコードによる支払いを実施しているが、コンビニ側から「冊子の状態で持ちこまれると従業員に負担がかかる」と苦情があり、昨年度に予算を組んで対応した。

 これにより通知書のレイアウト変更が発生し、委託業者のNECが対応。NECのシステム改修が終わった3月末から、茅ヶ崎市の財務部 資産税課がユーザーとして検証に当たった。資産税課は「バーコード下部の数字を目視でチェックし、納める期と金額が正しいことを確認した」という。

 しかし、バーコード下部の数字部分と、白と黒の縦線部分が一致していなかった。「実際のバーコードの読み取りテストは、従来から実施していなかった。今回、まさか数字と傍線がセットになっていないとは思いもしなかった」(資産税課)。

 「プリンタの仕様上、数字部分と縦線部分を別々のフォームで印刷しなくてはいけない。NECは数字部分のレイアウトを変更したが、傍線部分を見落とした」と、茅ヶ崎市役所の情報推進課は説明する。「次年度からはバーコードの読み取りテストを追加し、さらに抜き取りテストなどを加える」と資産税課は述べる。

 茅ヶ崎市役所は今回のトラブルで「数百万円の損害が発生した」(資産税課)という。4万通のお詫び文書の印刷費と郵送料、職員の追加人件費などだ。05年度、06年度にNECが開発した税システムのトラブルが発生しており、NECは茅ヶ崎市に損害額の補填として183万円を支払った。資産税課は今回のNECへの損害賠償請求を「視野に入れているが、まだ検討中」と話す。