NTTソフトウェア(NTTソフト)は5月8日,都内で『オープンソースIP-PBXソフトウェア「Asterisk」が生み出す新たな市場価値』と題したセミナーを開催した。4月9日に発表した米ディジウムとの協業や,「Asterisk Business Edition」(ディジウムが開発した商用版のAsterisk)と自社開発のミドルウエアを組み合わせて作ったモバイル・セントレックス製品「ProgOffice」の特徴などを説明した。また初来日のAsterisk開発者のマーク・スペンサー氏(米ディジウムCTO,写真左上)がAsterisk Business Editionなどについて講演した。

写真●米ディジウムのスペンサーCTO(左上),NTTソフトの寺中取締役(左下),NTTソフトの白石グループ長(右上),NTTソフトの生駒プロデューサ(右下)

 講演に先立ち,NTTソフトのモバイル&セキュリティ・ソリューション事業グループ長である寺中勝美取締役(写真左下)が登壇。「Asteriskには数多くの応用例がある。我々も考えているが,みなさんも活用法を考えていると思うので是非提案していただきたい」とあいさつ。ProgOfficeは昨年9月の発表後,最新バージョンのAsteriskに載せ替え,現在はNTTドコモの無線LAN/FOMAデュアル端末「N902iL」への対応を進めているという。

 続いて登壇したIPサービス企画グループの白石智グループ長(写真右上)は,Asteriskを採用した理由として,豊富な機能や拡張性の高さ,マルチプロトコル対応などを挙げた。また,「ソースコードを改変する際に守秘情報を含むコードを非公開にできる」「ディジウムによる動作確認や保証,サポートが付く」ことからBusiness Editionを使うことにしたと説明。「問題発生時に即時に対応したり共同で機能追加したりすることを考え両社をVPNで結ぶ。お互いの技術を信頼するパートナとなることを目指したい」とした。

 同グループ長はセミナー後の記者会見で,NGNに向けた協業について「AsteriskはIP-PBXというより,多彩な機能を持ちIPネットワーク時代にプラットフォームになりえるソフトととらえている。NGNでIP-PBXとして活用する場面もあるだろうが,アプリケーション・サーバーとして展開できるのではないかと考える。こうした観点でどんなアクションがとれるか今日ディジウムと話した」と説明。

 白石グループ長のあとに,マーク・スペンサー氏がAsteriskの特徴や歴史,ディジウムのビジネス・モデル,Asterisk Business Editionについて講演した。同氏の「ぜひ質問を」という希望により,受講者からの質問に多くの時間を割いた。多数の質問が同氏に投げかけられた。その内容は,Asteriskの構築と設定やオープンソース版と商用版の位置づけ,ディジウムのビジネス展開,アライアンスに関する考え方,開発コミュニティとの関係,Asteriskの今後の開発予定などであった。

 スペンサー氏は丁寧に答えながら,「ディジウムがフォーカスしているのは中小企業だが,大企業や通信事業者から話が来れば受けている」「ビデオのサポートは,課題はあると思うが検討していきたい」「趣味で開発に携わる“オタク”な方々に敬意を表したい。熱意が生産性をドライブし,ひいては変化を引き起こす」「個人的な今後の開発目標はユーザー・エクスペリエンスの向上」といった内容のコメントを残した。

 セミナーの最後に登場した生駒勝幸ユビキタスオフィス技術プロデューサ(写真右下)は,ProgOfficeとAsterisk Business Editionの適用部分や適用効果を解説。今後の展開として,ProgOfficeの独自性とAsterisk Business Editionの特徴を生かし導入しやすいモバイル・セントレックス製品を提供することと,同社のSI技術やディジウムとの協業関係,Asterisk Business Editionの拡張性を組み合わせ新たな付加価値を持つシステムを出していくことを挙げた。