青森市役所は5月7日、今月1日引き落とし分の固定資産税の引き落としデータ作成を誤ったことを発表した。具体的には517件約1700万円分のデータを金融機関に送付しなかった。このデータを作成する税情報システムはこの4月に本稼働を迎えたばかりであり、金融機関向けデータ作成は今回が初めての作業だった。

 原因は、本稼働に先立ち1月から2月に実施したテストでの一時対応を放置したまま本番に臨んだこと。同市役所の情報政策課によれば、テスト時に一部の金融機関がテスト・データに、2005年4月1日に青森市と合併した浪岡地区のデータを含めないように要請してきたという。そこで開発を委託されている富士通は、口座振替作成プログラムを浪岡地区のデータを含めないように変更。テストは正常に完了した。

 問題は、ここからだ。テストのために修正したプログラムを元に戻さず、そのまま本番作業を実施したのである。「青森市も富士通も、(運用を委託している第三セクターの)ソフトアカデミーあおもりもチェックを漏らした」(情報政策課)。

 トラブルが発覚したのは、5月1日の夕方。ある金融機関が件数が不足しているのではないかと青森市役所に問い合わせたことで分かった。翌2日の午前3時、富士通が原因を突き止め、他のプログラムへの影響調査を終えてから、プログラムを元に戻した。

 2日、青森市は口座振替が実施できなかった対象者への詫び状の作成作業を優先。3日に517件の口座振替データを再作成した。8日、口座振替のデータを収納課がチェックし終えてから金融機関に引き渡した。再引き落としは15日に実施される予定だ。また、引き落としが遅れたことにより損害金は発生しているが、今回は、517件すべてで法律上の規定額(1000円)に満たなかったため、実質上、遅れたことによる延滞金は発生しない。

 新システムが稼働した4月、青森市は投票所入場券や納税通知書、住民票などの印刷ミスといったトラブルを立て続けに起こした。19日に運用を委託するソフトアカデミーあおもりと富士通にチェック強化を呼びかけたばかりだった。「今回のデータ作成作業は19日ごろに実施した」(情報政策課)ため、チェックしきれなかったとみられる。

 一連のトラブルを受けて青森市は、「システムの仕様は正しくても運用でのトラブルが続いているため、収納課といったユーザー側のチェックを一段と強化する」(情報政策課)という。23日までには青森市とソフトアカデミーあおもり、富士通でチェック対策をまとめ上げる計画だ。