写真 ソフトバンクの孫正義社長
写真 ソフトバンクの孫正義社長
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 ソフトバンクは5月8日,2006年3月期通期(2006年4月~2007年3月)の連結決算を発表した。売上高は前年比129.5%増の2兆5442億円,営業利益は同335.1%増の2710億円と,いずれも大幅増となった。ボーダフォン買収によって開始した携帯事業による増収増益分がほとんどで,売上高と営業利益の5割以上を携帯事業が占めた。

 孫正義社長(写真)は,決算説明会のほとんどの時間を携帯事業の説明に当て,ボーダフォン買収が成功だった点をアピールした。「もし我々が独自に携帯事業を展開していたら,5年から10年の間は赤字は避けられなかっただろう。ボーダフォンの買収はそれに比べたらはるかに良い選択だった」(同)とし,1年前の買収劇を総括した。

 孫社長は,単にボーダフォンを買収しただけではなく「中身が劇的に改善している」(孫社長)点も強調。例えば,ボーダフォン時代の2005年5月~2006年4月の年間純増数が22万だったのに対して,ソフトバンクモバイルとなった2006年5月から2007年4月の年間純増数は85万と約4倍に伸びたという数字を示した。

 孫社長によると,2007年4月の月間純増数は16万と過去最大の数字を記録したという。さらにARPU(1加入者当たりの月間平均収入)が少ないプリペイド携帯や第2世代の携帯電話端末が減り,ARPUが高い第3世代携帯電話の契約比率が50%超に達している点にも触れ,経営面で健全化している様子も強調。孫社長は「番号ポータビリティ(MNP)開始前は劇的にユーザーが減るのではと言われてきたが,結果は純増だった。結果的にMNPは我々にとって良い存在だった」とし,MNP開始後の一連の流れを総括した。

 基地局については,2007年4月末時点で開局済みが3万1000局という。2006年度中に4万6000局の第3世代携帯電話の基地局を展開するという目標は達成できなかったが,「既に4万6000局分の用地が確保済みで,2007年度上期に達成できる」(孫社長)という見通しを示した。