SIPropプロジェクトは5月7日、異なる仕様のSIP(Session Initiation Protocol)の相互接続を支援するオープンソース・フレームワーク「SIPropバージョン1.0」をリリースした(http://www.siprop.org/)。SIPはIP電話の標準プロトコルであるが、IP電話サーバーのベンダーやIP電話サービス・プロバイダの間で仕様が異なることが多い。SIPropは、この仕様の違いを吸収して相互接続を可能にするためのフレームワーク(関連記事)。SIPropは、IPA(情報処理推進機構)の2006年度上期の「未踏ソフトウェア創造事業」に採択されたプロジェクトである。

 SIPropのアーキテクチャはB2BUA(Back to Back User Agent)。つまり、SIPのメッセージをいったん受信し、送信先に合わせて変換などの処理を実行してから転送するという方式である。内部に、FlatSIPと呼ぶ標準のSIPメッセージを処理する部分があり、ここで違いを吸収する。また、メッセージなどのシーケンスを制御する機能を備え、シーケンスの違いにも対応する。

 SIPropバージョン1.0は、クライアント・サイドで動作し、モバイル端末への組み込めるようにJ2ME(Java 2 Platform, Micro Edition)を採用する。プロトコル・スタックには、NIST-SIPを利用している。これは米Sun MicrosystemsのJAIN(Java APIs for integrated networks)をもとにNIST(National Institute of Standards and Technology)がリファレンスとして実装したもの。

 2007年1月にVoIP/SIP相互接続検証タスクフォースが実施した「第1回 国際間相互接続性検証試験」にSIPropも参加。シャープのZaurusにKPhone、WindowsマシンにX-Liteといった異なるソフトフォンを搭載し、SIPropを使って相互接続できることを確認している。また、アイ・ピー・ビジョンやエムトゥエックス、ユーエフネットなどがSIPropを評価検討するとしている。

 バージョン2.0は現在のクライアント・サイドからサーバー・サイドのB2BUAフレームワークとしての機能を強化し、今秋リリース予定である。また、新たなプロジェクトとして、このSIPropをベースとしたクライアント間マッシュアップ用B2BUAアプリケーション・サーバー「雷電」の開発も開始している。これにより、SIP(VoIP)とHTTP(Web)を相互に接続するなどマルチプロトコル間の相互接続の実現を目指す。