米ウォルマート・ストアーズのローリン・フォードCIO
米ウォルマート・ストアーズのローリン・フォードCIO
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 米国フロリダ州オーランドで4月30日に始まった無線ICタグの専門イベント「RFID Journal LIVE! 2007」において、米ウォルマート・ストアーズのローリン・フォードCIOは、ICタグへの投資を今後も継続することを基調講演で訴えた。「2007年1月までに(全4000店中)1000店にICタグ・システムを導入した。これを今年中に1400店にする。ICタグへの投資はスローダウンすることなどない」。

 ICタグへの投資の継続を改めてウォルマートが宣言した背景には、2月15日に米ウォール・ストリート・ジャーナルが掲載した記事がある。「(ウォルマートのICタグ導入は)失敗(fizzle)する兆候を見せつつある」と断じた記事だ。ウォルマートがICタグの張り付けを要請している納入業者(サプライヤ)は600社に達するが、そのほとんどはICタグへの投資で利益を出していない。いくつかのサプライヤが積極的に取り組んでいるが、ウォルマートを喜ばせたいためだけに付き合っているだけである。記事の趣旨はそうしたものだった。

 サプライヤの多くが現在、投資効果を得ていないのは事実である。そうしたサプライヤは、納入する商品のほんの一部に手張りでICタグを張り付けて納入しているだけで、かかるのはコストだけだ。しかしその一方で、先行してICタグの活用を進めてきたサプライヤが実際の利益を出しつつある。具体的には、店頭での販促活動の効果をアップさせたり、店頭での品切れを防止することなどだ。フォードCIOはそうした事例をいくつか紹介し、ICタグが業界全体の利益を生むことを訴えた。

 ウォルマートのICタグ導入が生む利益とはどんなものなのか。本サイトと日経コンピュータ6月11日号で詳細を報告していきたい。