写真1 CentOS 5のデスクトップ画面。2007年4月12日に公開された。64ビット版もある。
写真1 CentOS 5のデスクトップ画面。2007年4月12日に公開された。64ビット版もある。
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写真2 CentOS 5の壁紙。RHEL5では米Red Hat社のロゴが入っている。
写真2 CentOS 5の壁紙。RHEL5では米Red Hat社のロゴが入っている。
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写真3 パッケージマネージャ画面。RHEL5と同じ「pirut」のもの。
写真3 パッケージマネージャ画面。RHEL5と同じ「pirut」のもの。
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写真4 パッケージアップデータ-画面。「pup」コマンドが起動している。
写真4 パッケージアップデータ-画面。「pup」コマンドが起動している。
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写真5 /etc/yum.repos.d/CentOS-Base.repoの内容。CentOS独自のレポジトリを利用する。
写真5 /etc/yum.repos.d/CentOS-Base.repoの内容。CentOS独自のレポジトリを利用する。
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写真6 CentOS 5のインストール画面。Xenを利用するには仮想化を選ぶ。
写真6 CentOS 5のインストール画面。Xenを利用するには仮想化を選ぶ。
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写真7 「Virtual Machine Manager」を起動するメニュー。
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写真8 接続を開く画面。新規のゲストOSを作成する場合のほか,既存のゲストOSに接続する場合に用いる。
写真8 接続を開く画面。新規のゲストOSを作成する場合のほか,既存のゲストOSに接続する場合に用いる。
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写真9 仮想マシンマネージャ。現在動作中のゲストOSが表示される。新規のゲストOSを作成するまでは,元々のCentOS 5(Domain-0)のみが表示されている。
写真9 仮想マシンマネージャ。現在動作中のゲストOSが表示される。新規のゲストOSを作成するまでは,元々のCentOS 5(Domain-0)のみが表示されている。
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写真10 ゲストOS作成用のウイザード画面。操作手順の流れが分かる。
写真10 ゲストOS作成用のウイザード画面。操作手順の流れが分かる。
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写真11 ゲストOSの名称を入力する画面。
写真11 ゲストOSの名称を入力する画面。
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写真12 Xenの仮想化手法を選択する画面。Intel VTなどが利用できるCPUを搭載していない限り,準仮想化しか選べない。
写真12 Xenの仮想化手法を選択する画面。Intel VTなどが利用できるCPUを搭載していない限り,準仮想化しか選べない。
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写真13 ゲストOSのインストール元を指定する画面。/dev/hdaなどのように,直接デバイスを指定できない。あらかじめ,Apacheのドキュメント・ルート直下にマウント・ポイントを作成し,そこにインストールCD-ROMをマウントしておく必要がある。
写真13 ゲストOSのインストール元を指定する画面。/dev/hdaなどのように,直接デバイスを指定できない。あらかじめ,Apacheのドキュメント・ルート直下にマウント・ポイントを作成し,そこにインストールCD-ROMをマウントしておく必要がある。
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写真14 ゲストOSのインストール先を選択する画面。パーティションを選択した方が高速に動作するが,パーティションをあらかじめ作成しておく必要がある。通常は,ファイルにゲストOSをインストールすればよい。
写真14 ゲストOSのインストール先を選択する画面。パーティションを選択した方が高速に動作するが,パーティションをあらかじめ作成しておく必要がある。通常は,ファイルにゲストOSをインストールすればよい。
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写真15 ゲストOSにメモリーとCPUを割り当てる画面。元々のCentOS 5が利用するメモリーを残しておく必要がある。仮想CPUは実CPU数(CPUコア数)以下に設定しよう。
写真15 ゲストOSにメモリーとCPUを割り当てる画面。元々のCentOS 5が利用するメモリーを残しておく必要がある。仮想CPUは実CPU数(CPUコア数)以下に設定しよう。
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写真16 ゲストOSをインストールしているところ。メモリー割り当て量が少ないため,テキスト・インストール画面となっている。最前列の仮想マシンマネージャ画面では,元々のCentOS 5のほかにゲストOSが動作していることが分かる。
写真16 ゲストOSをインストールしているところ。メモリー割り当て量が少ないため,テキスト・インストール画面となっている。最前列の仮想マシンマネージャ画面では,元々のCentOS 5のほかにゲストOSが動作していることが分かる。
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 CentOS 5は,有償のRed Hat Enterprise Linux 5(RHEL5)のソース・コードを用いて独自に開発された,無償で使えるLinuxディストリビューションである(写真1)。開発・提供元のThe CentOS Projectは,2003年末にリリースしたCentOS 3から,RHELの更新に合わせて新版を公開している。

 最新版のCentOS 5は,RHEL5の公開から約1カ月遅れの2007年4月12日に公開された(関連記事「RHEL5互換のCentOS 5が公開,構成の違いが明らかに」)。RHEL5とアプリケーションのバイナリ互換性を持つが,Red Hat社が知的財産権を持つ商標などは取り除かれており,デスクトップの壁紙や一部のアイコンなどが異なる(写真2)。

 収録されたソフトウエア・パッケージはRHEL5と同じ(写真3)。RedHat社のパッケージ配布サービス「Red Hat Network」は利用できないが,The CentOS Projectが独自のサービス「CentOS Network」を無償提供している(写真4写真5)。ここで提供される修正版のパッケージは,やはりRHELのソース・コードに基づいている。

 従来版のCentOS 4.4と比較して,CentOS 5の最大の改良点は,仮想化ソフト「Xen」の強化である。Xenを用いると,他のLinuxディストリビューションやWindowsといったOSをCentOS 5上で同時に実行できる。

 Xenには,既存のOSに変更を加えなくてもそのまま動作する「完全仮想化(フル・バーチャライゼーション)」と,専用のゲストOSが必要なもののより高速に動作する「準仮想化(パラ・バーチャライゼーション)」の2つの動作モードがあり,CentOS 5では両方とも利用できる。ただし,完全仮想化を実行する場合は,米Intel社が開発したIntel VT技術などを組み込んだCPUが必要である。例えば,Pentium 4 662/672,Pentium D 920/960,Core 2 Duo E6300/E6700などにはIntel VT技術が組み込まれている。

CentOS 5のXenを利用する

 CentOS 5でXenを利用するには,まずXen対応のカーネルを組み込む必要がある。インストール時にパッケージ選択画面で「仮想化」(写真6)を選ぶか,インストール後に[アプリケーション]-[ソフトウェアの追加/削除]で「仮想化」を選択すればよい。

 以上で,Xen本体と管理ツール,Xenのハイパーバイザ上で動作するXen対応のLinuxカーネルが組み込まれる。

 次に,XenのゲストOSを作成する下準備を施す。CentOS 5には,ゲストOSのインストールを支援するソフトウエア(「virt-manager」)が含まれる。ゲストOSのインストール時には,virt-managerからCentOS 5のファイル・システムに直接アクセスすることはできない。そのため,ネットワーク経由で,ゲストOSのインストールCD-ROMにアクセスできるようにする必要がある。

 LinuxのインストールCD-ROM(インストールDVD-ROMを含む,以下,インストールCDと統一)をCentOS 5をインストールしたマシンのCD-ROMドライブに装着するとオートマウントされてしまう。まず,umountコマンドを使って,インストールCDをアンマウントしておく。GUIを用いるとメディア自体を排出してしまうため,以下のようにコマンドラインから操作する。

$ su
# umount /dev/hda

 次にApache HTTP Serverのドキュメント・ルート・ディレクトリ(/var/www/html)の直下にマウント・ポイントを作成する。

$ mkdir /var/www/html/mountpoint

 最後に,マウント・ポイントにCD-ROMをマウントする。

# mount /dev/hda /var/www/html/mountpoint

その後,以下のコマンドを実行して,Apacheを起動しておく。

# service httpd start

 Xen上で動作するゲストOSを構築するには,ルート権限から[アプリケーション]-[システムツール]-Virtual Machine Managerを選ぶ(写真7)。またはルート権限で,virt-managerコマンドを実行すればよい。

 すると,「接続を開く」というダイアログが表示される(写真8)。今回のように新規にXen用のゲストOSを作成する場合は,ラジオボタンが「ローカルXenホスト」にあることを確認後,右下の「接続」を押す。

 画面に表示された「仮想マシンマネージャ」画面では,現時点でXenハイパーバイザ上で動作するOSの一覧だ(写真9)。まだ他のOSをゲストOSとして導入していないため,CentOS 5のみが管理用のドメイン0で動作していることが分かる。

 ここで,画面中央下の「新規」を押すと,「新規の仮想システムを作成」というウィザード画面が現れ,ゲストOSを作成できる(写真10)。

 「進む」ボタンを押すと,まずゲストOSの名称を入力する画面になる(写真11)。

 次は,Xenの動作モードを決める。テストしたマシンはIntel VT対応ではなかったため,準仮想化しか選べなかった(写真12)。

 「インストールメディアの検索中」ダイアログでは,上方のボックスに「http://マシンのIPアドレス/マウント・ポイント名」を指定する(写真13)。

 次の画面では,ゲストOSをハード・ディスク上のどこに作成するかを決める。ここでは,ホーム・ディレクトリ以下のファイル(とサイズ)を指定した(写真14)。高速化したい場合は「通常のディスク・パーティション」を選ぶ。ただし,あらかじめゲストOS専用のパーティションを作成しておく必要がある。

 最後は,ゲストOSに割り当てるメモリー容量と仮想CPUの割り当て数の設定だ(写真15)。512Mバイトのメイン・メモリーを装備したマシン上で実行したため,メモリーの空き容量が少ない。そのため,写真では128Mバイトを割り当てた。ここで,例えば400Mバイトを割り当てると,CentOS 5自体が動作できなくなる。仮想CPUの数は物理的なCPU(CPUコア)の数とは無関係に指定できるが,CPU(CPUコア)の数以上の数字を指定しても性能は上がらない。

 次画面で,完了ボタンを押せば,ゲストOSが専用のウインドウ内で起動する(写真16)。

 最後に,日経Linux2007年5月号の新入門連載「まるわかりサーバー構築」にてCentOS 5のインストール・ガイドを掲載している。5月8日発売の日経Linux2007年6月号の付録DVDには,CentOS 5のインストールDVD(i386版)を収録する予定である。