京都府は災害時に市町村や出先機関との間での情報共有する「新防災システム」を完成させた。2003年度から整備しており、2007年3月末に運用を開始した。開発は沖電気工業で、投資額は約60億円。

 新防災システムは市町村の役所、京都府や国の出先機関、消防や病院、ライフライン事業者など約100カ所に導入した。各機関のパソコン上のWebブラウザで入力した被害の報告などの情報を府側のサーバーで一元的に集計し、災害対策に活用できるようになる。従来は、ファクシミリや電子メールを使っていたため、集計に時間がかかっていた。

 府が集めた情報を各機関側から参照することも可能だ。例えば、近隣市町村の入力した道路崩壊の情報を参考に、復旧作業や災害物資の配送にかかわる車両のルート確保に活用するといったことができる。

 ネットワーク回線は、京都府が整備した光ファイバ網「京都デジタル疏水ネットワーク」を利用する。同ネットワークは京都府内をリング状につないでおり、回線の切断などの被害を受けても、逆方向の経路を利用して通信を継続できる。

 市町村役所などの最重要の約40拠点は通信衛星を利用した回線でも府と接続しており、地上の光ファイバとあわせて2重化している。衛星の回線は2005年度に整備が済んでいる。