写真1●Longhorn Serverの開発責任者を務めるビル・レイン ゼネラル マネージャ
写真1●Longhorn Serverの開発責任者を務めるビル・レイン ゼネラル マネージャ
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写真2●Longhorn Serverの主要機能
写真2●Longhorn Serverの主要機能
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写真3●Longhorn Serverのシンクライアント機能「ターミナル・サービス」の利用例。見た目には分かりづらいが、サーバー上で動作する「ワードパッド」を利用している
写真3●Longhorn Serverのシンクライアント機能「ターミナル・サービス」の利用例。見た目には分かりづらいが、サーバー上で動作する「ワードパッド」を利用している
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 「Windows Server "Longhorn"の全機能を搭載したベータ3を、ようやく届けることができるようになった」。米マイクロソフトのビル・レイン ゼネラル マネージャ(GM)は、次期Windows ServerであるLonghorn Server(開発コード名)のベータ3の公開に合わせて開催したセミナーで、こう切り出した(写真1)。

 Longhorn Serverの開発責任者を務めるレインGMは、「システム運用管理の人件費を削減し、より戦略的な投資を拡大することが、企業の競争力につながる。これを支援することが、Windows Server "Longhorn"の目的だ」とアピール。システム基盤、運用環境、アプリケーションのホスティング環境の3つに分けて、Longhorn Serverの特徴を説明した(写真2)。

 システム基盤では、「サーバーコア」と呼ぶ新機能を披露。これはWebサーバーやファイル・サーバーなど、特定用途に必要な最低限の機能だけを利用できるようにするオプションである。「特定用途に不要な機能を外すことで、処理性能の向上を期待でき、運用も容易になる」(レインGM)。

 例えばWebサーバーを選べば、Internet Information Servicesやファイアウオールといった機能だけが利用可能になる。Webサーバー用途に使わない機能は一切なく、GUIすらもない。このため、ネットワーク経由でLonghorn Serverにアクセスしたり、コマンドラインを使ったりして操作することになる。

 運用環境での注目点は、「ターミナル サービス(TS)」の強化と仮想化機能である。ターミナル サービス(TS)は、Windows Serverが備えるシンクライアント機能。クライアント・アプリケーションをサーバー上で実行して、処理結果の画面情報のみをクライアントに転送する。デスクトップを丸ごとクライアント側のウインドウ内に表示していた従来のTSに対して、Longhorn Serverでは利用するアプリケーションだけを表示できるようになる(写真3)。処理がやや遅延することを除けば、クライアント・アプリケーションとほぼ変わりなく、アプリケーションを利用できるようになるわけだ。

 仮想化機能は、Longhorn Serverの目玉機能の1つ。現行のWindows Server 2003 R2などでは、「Virtual Server」の名称で別ソフトとして提供していたが、Longhorn Serverでは標準搭載となる。さらにハイパーバイザー型の仮想化技術を採用して、性能向上を図る。

 3つめの分野であるアプリケーションのホスティング環境では、「IDフェデレーション機能」をアピールした。これはユーザー・アカウントやパスワード、アプリケーションのアクセス権といった「アイデンティティ情報」を、Longhorn Server上で稼働するアプリケーションやWebサーバーなどとの間で連携できるようにする機能である。「社内の部門間や企業間のコラボレーションを促進するための基盤となる」(レインGM)。

 マイクロソフトは、2007年下半期の完成に向けて、Longhorn Serverの開発を進める。本日から配布を開始したベータ3をもってすべての機能の追加を完了し、今後は品質の安定化作業を進めていく。ベータ3はマイクロソフトのWebサイトからダウンロードできる。当初は英語版のみだが、日本語版も26日中にはダウンロード可能になるという。