「フルIP網でも,高品質かつ柔軟でセキュリティを担保したNGN(次世代ネットワーク)を作りたい。そこには乗り越えなければならないハードルがたくさんある」。NTTグループの技術系最高責任者であるNTTの山田隆持代表取締役副社長は4月25日,情報セキュリティの専門イベント「RSA CONFERENCE JAPAN 2007」の基調講演で,改めてNGNの構築に対する強い意志を語った。

 講演のタイトルは,「NTTグループが推進するNGNとセキュリティプラットフォーム」。この中で,NGNの特徴や今後の計画,現在展開中のフィールド・トライアルについて述べた。まず,NGNの目指す方向性としては「レガシーの固定電話網の信頼性や安定性と,インターネットの柔軟性や拡張性という,両方のいいところ取りをする」と説明。「インターネットは利便性が追求して拡張性や柔軟性に優れていたが,セキュリティや品質の確保が難しかった」と前置きした上で,これをNTTが固定電話網で蓄積してきた信頼性や安定性のノウハウを補完しようという考えを示した。現状については,「NGNの商用開始に向けて,品質確保とセキュリティを担保できるように最後の詰めをしている段階」(山田副社長)という。

 講演ではさらに,NGNでの品質確保とセキュリティの具体的な取り組みについても言及した。品質確保では「最優先」「高優先」「優先」「ベストエフォート」の4クラスを提供し,通信する内容に応じて品質を選択可能。過剰なトラフィック流入を規制して混雑を解消する手段として,トラフィック・コントロール機能も紹介した。また,セキュリティ面では,発信者IDの確認によるなりすまし防止や,タイムスタンプによる認証強化などを説明。「ネットバンキングで,IDとパスワードだけを使う場合には残高だけ確認できるようにして,発信者IDを使って初めて送金などの処理ができるようにするサービスも可能だ」と,具体的な活用シーンを披露した。

 NTTは2006年12月からNGNのフィールド・トライアルを展開しており,4月末からは一般モニターに対象を拡大する予定。2007年度下期には商用サービスを開始する計画だ。