米証券取引委員会(SEC)は米国時間4月24日,米Appleの元法務顧問であるNancy R. Heinen氏と元CFO(財務最高責任者)であるFred D. Anderson氏を,ストックオプションの不正処理疑惑で,提訴したことを明らかにした。Anderson氏については,同時に和解申請も行った。
SECによると,Heinen氏は同社経営幹部向けの複数のオプションで付与日を操作する手法(バックデーティング)に関与したという。その中には,同社CEO(最高経営責任者)のSteve Jobs氏への750万オプション(2001年12月付与)の件も含まれる。Heinen氏は記録を改ざんし,不正を隠蔽した。そのためAppleは4000万ドル近い経費を申請していなかった。
SECは,同氏に対して差止命令による救済,不当利得の剥奪処分,罰則金などを求めている。
Anderson氏はHeinen氏の不正行為に気づくべき立場であったが,財務報告書の正確性を保証するための対策を怠った。Anderson氏は,不当利得剥奪として349万ドルと民事制裁金15万ドルを支払うことで和解に合意している。ただし同氏はSECの主張について,肯定も否定もしていない。
なおAppleについては,「迅速かつ広範囲にわたって,調査に協力した」(SEC)として法的手段に訴えることはないとしている。
しかし,Anderson氏の弁護士は同日発表した声明文で,「Jobs氏はバックデーティングを認めていたはずだ」と述べている(米InfoWorldの報道)。
[発表資料へ]