写真 Ubuntu 7.04の画面。MPEG4ファイルを再生しようとしたところ。
写真 Ubuntu 7.04の画面。MPEG4ファイルを再生しようとしたところ。
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 英Canonical社が支援するUbuntuコミュニティは2007年4月19日,Linuxディストリビューションの新版「Ubuntu 7.04」を公開した。

 Ubuntu 7.04は,「Desktop Edition」と「Server Edition」の2種類のEdition(版)に分かれている。それぞれx86版とx86_64版がある。Server Editionのみ,SPARC版もある。

 Ubuntuは,約6カ月ごとに新版が公開される。これは,6カ月ごとに新版が公開される統合デスクトップ環境「GNOME」と同期しているためだ。Ubuntu 7.04では2007年3月に公開されたばかりのGNOME 2.18が採用された。なお,バージョン番号の区切りが「よくない」のは,Ubuntuのバージョンが年号の末尾1桁(けた)と月を組み合わせた形式になっているためだ。7.04は,2007年の4月公開という意味である。

 Ubuntu 7.04は,CD-ROMから起動してそのまま使えるほか,ハード・ディスクにインストールして使うこともできる。CD-ROMから利用する場合でもWebブラウザやテキスト・エディタなどをGNOME上で利用できる。

 7.04版の主な特徴は5つある。(1)マイグレーション・アシスタント,(2)コーデック・インストール支援,(3)無線LAN接続支援,(4)ドライバ・インストール支援,(5)KVM,である。(1)から(4)はDesktop Edition,(5)はServer Editionで標準で利用できる。

 (1)はWindowsマシンに新たにパーティションを設け,デュアル・ブート構成にした場合に役立つ機能だ。具体的には,Ubuntuのインストール時に,WindowsパーティションからUbuntu側にInternet ExplorerやFirefoxのお気に入り/ブックマーク,IRCの接続リスト,Document and Settings内のファイルをコピーすることが可能になった。

 (2)は,mp3形式などの音楽ファイルやMPEG4形式の映像ファイルを再生しようとした場合,適切なコーデックを自動的に選び出し,インストールを促す機能(写真)。ただし,DRM(デジタル著作権管理)で保護されたコンテンツは再生できない。

 (3)は,検出した無線LANのアクセス・ポイントと電波の強度,有線LANの状態をデスクトップ上のアプレットに一覧し,接続先を変更する機能である。ノートPCなどで有用だ。

 (4)は,GPL互換ではない商用のデバイス・ドライバのインストールを助ける機能である。無線LANドライバやグラフィックス・ボードのドライバで役立つとしている。

 (5)は,Server Editionで利用できる。Ubuntu 7.04ではカーネルにKVM対応の2.6.20を用いた。加えて米VMware社が策定したVMIと呼ばれる仮想化インタフェースを利用できるため,VMware Workstaionなどでの実行速度が向上したという。

 Ubuntu 7.0.4の主なパッケージは,glibc 2.5,xorg 7.2など。Firefox 2.0.0.3やOpenOffice.org 2.2.0も利用できる。

 なお,パッケージ構成をKDE,教育向け,Xfce向けにそれぞれ特化したKubuntu,Edubuntu,Xubuntuの新版(7.04)も同時に公開された。

■変更履歴
Canonical社の本社所在地として公開時には「米」とありましたが,正しくは「マン島」です。[2007/04/20 23:00]
Canonical社の表記について誤りがございました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2009/05/20]