島根大学は2007年4月,「情報と地域-オープンソースと地域振興」と題する授業を開講した。主任担当教官は島根大学法文学部教授 総合情報処理センター長でしまねOSS協議会の副会長も務める野田哲夫氏。授業には島根県や松江市の産業振興担当や,島根県松江市に在住するRubyの作者まつもとゆきひろ氏なども登壇する。
授業は理工学,人文・社会科学など多方面から,情報(情報技術)が産業として成立し,地域社会や地域産業に与える影響を理解する能力を養うことを目的とする。「特に島根県,松江市にとって地域資源と考えられるRubyを代表とするオープンソース・ソフトウエアの理解を深める」(野田氏)。理系,文系,学部を問わず受講できる。
講義は実際に地域振興やオープンソース・ソフトウエアの開発に携わっている当事者がリレー形式で担当する。島根県や松江市の産業振興担当者,島根大学 産学連携センターの担当者,まつもとゆきひろ氏,mod_rubyの作者前田修吾氏などだ。島根大学総合理工学部助教授 縄手雅彦氏によるRubyプログラミングの入門および応用の実習も行われる。
野田氏が副会長を務めるしまねOSS協議会は,島根県の産官学連携によるオープンソース・ソフトウエアを活用した地域の産業振興を目的とする団体。松江市の産業振興施策「Ruby City Matsueプロジェクト」と連携し,イベント「オープンソースサロン」開催やシリコンバレー視察などの活動を行っている。
「情報と地域-オープンソースと地域振興」の授業内容は以下のとおり。
第1回 | ガイダンス,情報技術の発達と情報産業 野田哲夫氏 (総合情報処理センター長) |
第2回 | 「ユビキタス・ネットワーク」と「ユビキタスエコノミー」 野田哲夫氏 (総合情報処理センター長) |
第3回 | 情報の理論・概念 平川正人氏 (附属図書館長) |
第4回 | ITベンチャーとビジネスモデル 丹生晃隆氏 (産学連携センター・産学連携マネージャー) |
第5回 | ITインキュベーションと地域産業振興 丹生晃隆氏 (産学連携センター・産学連携マネージャー) |
第6回 | 島根県の情報化と地域振興 中島哲氏 (島根県地域振興部情報政策課長) |
第7回 | 島根県の情報産業の現状と課題 今岡克己氏 (島根県情報産業協会) |
第8回 | オープンソース・ソフトウエアとディストリビューションビジネス 野田哲夫氏 (総合情報処理センター長) |
第9回 | オープンソース・ソフトウエアと地域の情報産業 野田哲夫氏 (総合情報処理センター長) |
第10回 | Ruby City MATSUE プロジェクトと地域振興 田中哲也氏 (松江市産業経済部参事) |
第11回 | オブジェクト指向言語 Ruby まつもとゆきひろ氏 (ネットワーク応用通信研究所・特別研究員) |
第12回 | Rubyによるプログラミング入門 縄手雅彦氏 (総合理工学部) |
第13回 | Rubyによるプログラミング応用 縄手雅彦氏 (総合理工学部) |
第14回 | Ruby on Rails入門 前田修吾氏 (ネットワーク応用通信研究所・主任研究員) |
第15回 | まとめ,実務的開発ラボの取組 野田哲夫氏 (総合情報処理センター長) |
テキストは授業のBlogで公開している。
◎関連資料
◆授業のBlog「情報と地域」(島根大学)