菅義偉(すが・よしひで)総務大臣は4月20日,ICT(information and communication technology)分野の構造改革を加速化するための「ICT改革促進プログラム」を発表した。通信・放送分野の改革や情報通信行政の強化策などの方向性が初めて示された。

 通信分野では,電波特区として報道されていた「ユビキタス特区」の創設や,携帯電話の販売奨励金の在り方を含む販売モデルの包括的見直し,MVNOの新規参入を促進することなどを明記。通信と放送の融合に対応した法制度の見直しについては,研究会の中間取りまとめを2007年6月をメドに実施し,「抜本的な見直しの方向性を示す」としている。

 さらに,ICT産業の国際競争力強化や通信と放送の融合への対応を戦略的に進めるため,総務省のテレコム関連局である「情報通信政策局」と「総合通信基盤局」を再編する方針を盛り込んだ。2008年度に実施し,情報通信行政を強化するのが狙い。通信・放送の融合や情報通信産業全体の動向を見据えた上で,2010年に始めるNTTの組織問題の議論へ備える意図もありそうだ。

 正式発表前だが,NTTグループ側は2010年の組織見直し議論に向けた新体制を既に固めている。NTT持ち株会社の三浦惺(みうら・さとし)副社長が6月下旬に社長に昇格し,和田紀夫社長が代表権のない会長に就任する予定。主要事業会社であるNTT東日本の高部豊彦社長,NTT西日本の森下俊三社長,NTTコミュニケーションズの和才博美社長,NTTドコモの中村維夫社長は留任となる見込みだ。