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 「世界規模で激化する証券取引所の国際競争を勝ち抜くには、バックアップ・システムが欠かせない」。東京証券取引所の鈴木義伯常務CIO(最高情報責任者)は4月20日、日経BP主催の「ディザスタ・リカバリ・カンファレンス2007」の特別講演で、こう述べた(写真)。

 鈴木CIOは、バックアップ・システムが必要な理由として「可用性の確保」を挙げた。「2005年11月から12月にかけてのシステム障害では、取引所のシステム停止が市場に与える影響の大きさを痛感した」(鈴木CIO)。システム障害に限らず、大規模な地震、風水害、広域な社会インフラの停止など「有事」の際にも、システムの停止時間を極力短くできるような仕組みを用意しないと、投資家の要求を満たせないわけだ。

 にもかかわらず、「世界の大手証券取引所で、バックアップ・システムを持っていないのは東証だけ」(鈴木CIO)。2009年後半に予定する次世代売買システムの稼働に合わせてバックアップ・システム専用の「バックアップ・サイト」を開設し、「取引所の国際競争力を確保する」(同)。

 有事でバックアップ・サイトを稼働させる場合の、復旧時間の目標は、売買システムにおける約定処理が有事発生後24時間以内。清算システムによる清算処理が同2時間以内だ。バックアップ・サイトの設置場所は検討中だが、メインのセンターと同時被災を避けつつ、メイン・センターの要員が有事の際に駆けつけられるのを前提に、メイン・センターから30~50kmのエリアを候補としている。