総務省は4月20日,指定電気通信設備制度の見直しなどを検討する「新しい競争ルールの在り方に関する作業部会」を開催した。第五回会合となる今回は,通信事業者へのヒアリングを実施し,NTT持ち株会社とKDDI,ソフトバンクテレコム,ケイ・オプティコム,ジュピターテレコムが,新しい競争ルールの在り方についてプレゼンテーションをした。

 NTT持ち株会社は有馬彰取締役がプレゼンし,NGN(次世代ネットワーク)に事前規制をかけることへの懸念,設備競争を進めるために光ファイバの開放義務などの撤廃を主張。一方でKDDIは,従来のNTT東西地域会社のアクセス部門の分離やNTTグループの資本分離の主張だけでなく,「IP化の進展により,ユーザーの接点となるアクセス網の重要性は極めて高くなるため,指定電気通信設備の対象を拡大し,開放ルールを整備すべき」など,新しい意見を追加で表明した。

 ソフトバンクテレコムも「光ファイバの設備は開放されてきているが,開放ルールが不十分。実態に合った減価償却費が計上されておらず接続料が高止まりしている」などの問題点を指摘。ケイ・オプティコムは,NTT東西の業務範囲拡大を認める「活用業務認可制度」の問題点を指摘し,NTT東西とその子会社間の資金の流れを明確にするべきだ,という点を主張した。

 ジュピターテレコムは,「独占的な通信インフラを持ち,膨大な資金力のある通信事業者の参入で,放送事業の公正競争が阻害される恐れがある」など,放送事業者としての意見表明を展開。資産や営業リソースなどの不公正な贈与を阻止するため,会計の透明化や,圧倒的なブランド力,資金力を背景とした不公正な放送事業への進出があってはならない,などと訴えた。

 その後の議論では,作業部会の構成員に加え,プレゼンテーションした通信業者などが意見を交わしたが,NTTとNTT以外の事業者の意見相違はいつも通りの展開。光ファイバを敷設する際の電柱などのボトルネック設備の開放状況やアクセス網の組織分離の是非,NTT東西とアウトソーシング子会社の連携,IP化の進展に向けたNTTグループ連携など,ことごとく意見が対立した。