島根県松江市は2007年4月から,家賃の半額を8年間補助するIT企業(情報サービス業)を誘致する制度を開始した。同市は市内に在住するまつもとゆきひろ氏が開発したRubyを核に産業振興を図る「Ruby City Matsue プロジェクト」を進めている(関連記事「オンリーワンが人の心に火をつける」---松江市長 松浦正敬氏がRuby City Matsueプロジェクトを語る)。松江市では「Rubyを使いこなす技術力のある企業に応募してほしい」と話している。

 同制度による補助金の名称は「松江市情報サービス産業等立地促進補助金」。20万円を限度に,オフィスの賃料の半額を補助金として交付する。期間は補助金交付決定のあった日から8年間分。自治体による賃料補助で,8年間の長期におよぶものは珍しいという。

 対象となる情報サービス産業などとは,具体的には「ソフトウエアの開発,ハードウエア,ネットワークを含む情報システム全体の構築,ネットワークを利用した各種サービス,情報化に関わるコンサルティングなどを行う知識集約型産業および情報サービス産業に携わる人材育成機関」を指す。

 対象となる事業者の範囲は以下の通り。市外から新規に松江市に立地した企業であること。市内に在住する常時従業者を3人以上継続して雇用する企業であること(人材育成機関を除く)。市内の空き施設に入居し,所有者と賃貸貸借契約を締結していること。創業を開始しているとともに賃貸契約日から1年以内であること。

 また松江市では,電気代の半額を最長8年間補助する制度「企業立地支援補助金制度」もすでに実施している。

 「Ruby City Matsue プロジェクト」では,松江駅前に交流拠点「松江オープンソースラボ」を開設。地元の産官学がオープンソースによる産業振興を目的に結成した団体「しまねOSS協議会」が,ラボで毎月勉強会「オープンソースサロン」を開催するなどの活動を行っている。松江オープンソースラボの隣室ではまつもと氏が勤務するネットワーク応用研究所がサテライトオフィスを構えており,オープンソースサロンなどでまつもと氏とのフェイス・トゥ・フェイスの意見交換の機会もある。松江市では「補助だけでなく,Rubyの開発者と直接触れ合える環境を魅力と考える企業に応募してほしい」と話している。

◎関連資料
松江市情報サービス産業等立地促進補助金交付要綱