写真●米Topixの共同創業者兼CEOであるRich Skrenta氏
写真●米Topixの共同創業者兼CEOであるRich Skrenta氏
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 複数のWebサイトに掲載されたニュースを集めたWebサイトである「ニュース・アグリゲータ」。米Googleの「Google News」などが代表格だが,地方ニュースに強い米Topixもユーザー数を好調に伸ばしている。4月18日(米国時間)までサンフランシスコで開催された「Web 2.0 Expo」の講演で,同社の共同創業者兼CEOであるRich Skrenta氏(写真)は「地方ニュースには成長の余地がある」と主張した。

 Topixの特徴は,トップ・ページの検索窓に住所(San Francisco, CA)やZipコード(郵便番号)などを入力すると,その地域のニュースがまとめて閲覧できる点。また地域ごとに,フォーラム(電子会議室)や地域情報の検索結果ページ(TopixではWireと呼ぶ),告知欄(Classified)などが設けられていて,地域ニュース・サイトのページには必ずこれらのページへのリンクが掲載してある。

 Skrenta氏は「創業時にわれわれが目指したのは,ニュース・アグリゲータであって,地域情報に特化しようと思ったわけではなかった」という。しかし,ユーザーのニーズが多く,かつ収益の上がるビジネスを目指した結果,今のような地域ニュースに特化したサイトになったという。「地域に特化した方が,より効果のあるターゲットが絞れた広告を行えるからだ」(Skrenta氏)。

 また地域広告には,大きな成長の余地があるとSkrenta氏は指摘する。「Googleに広告を出している広告主は50万社というが,米国の各地域に存在する会社の総数は600万社にも達する。まだ550万社が地域に特化したインターネット広告を行っておらず,それだけ開拓できる余地がある」(Skrenta氏)というわけだ。

 ただし,地域ニュースには課題もある。それは「コンテンツとしての地域ニュースの量が,まだまだ不足していること」(Skrenta氏)。Skrenta氏はこう試算する。「米国には1440の新聞と,2303のラジオ局,1686のテレビ局がある。新聞社が毎日6本,ラジオ局が毎日3本,テレビ局が毎日4本の地域ニュースを発信したとしても,1日に発信される地域ニュースの総数は2万2293本にしかならない。米国にはZIPコードで分類しただけでも,3万2500の地域があるのだ」。

 Skrenta氏は「ギャップを埋めるのは,ブログや『地域市民ジャーナリズム』になるだろう」と指摘する。2006年,TopixのWebサイトには1日当たり500万ユニーク・ユーザーが訪問し,1ユーザー当たり2.3件のページを見ていた。ところが,Topixの各ページにユーザーがコメントを投稿できるようにしたところ,2007年には1日当たりのユニーク・ユーザー数が1000万に,1ユーザー当たりのページ・ビューが20件になったという。ユーザーは,地域ニュースに関しても自ら情報発信をしようとしており,それが地域ニュースを補う---Skrenta氏は,そのような地域ニュースの未来像を提示した。