総務省は4月19日,2007年1月から実運用が始まったユニバーサルサービス制度の算定規則の改正案を,情報通信審議会に諮問した。情報通信審議会は今後,ユニバーサルサービス委員会で改正案について議論し,7月中にも意見募集を実施する予定。

 総務省が提示した改正案は,NTT東西地域会社への補てん対象を高コスト回線の上位4.9%とし,補てん額は1回線当たりの全国平均コスト+2σ(標準偏差の2倍)を上回った部分とするもの。補てん額は従来,「全国平均コストを上回った部分」としていた。高コスト回線の上位4.9%が補てん対象という点は従来と全く同じである。

 これは米国のユニバーサルサービス制度を参考にしたという。米国は「全国平均コスト+2σ」を補てん額算定の基準としており,この基準を超える部分は「補てん対象となる通信事業者の経営効率化などを加味しても対応できない水準」として認められている。「日本でも一定の合理性がある」と判断した。

 この改正案を採用した場合は,NTT東西に払う補てん額が確実に減る。補てん額の推定はこれまで,2007年度が195億~275億円,2008年度が280億~380億円としていたが,改正案の導入後は2007年度が96億~127億円,2008年度が129億~168億円に減るという。この結果,ユーザーの負担も軽くなる。番号単価は2007年度(2008年1月から負担)が月額4~6円,2008年度(2009年1月から負担)が6~8円になる見通しだ(注1)。従来の推定では,2007年度が月額9~13円,2008年度が月額13~17円だった。

 このようにユニバーサルサービス制度の負担金は今後増えることが確実となっていたため,これを問題とする情報通信審議会は3月末に補てん対象額の算定ルールの見直しを要求していた(関連記事)。