CPU情報表示ソフト「CPU-Z」で確認したPenrynの仕様。動作周波数(画面中のCore Speed)が「3332.6MHz」になっている。2次キャッシュ(画面右下のLevel 2)は、6144KB(6MB)だ
CPU情報表示ソフト「CPU-Z」で確認したPenrynの仕様。動作周波数(画面中のCore Speed)が「3332.6MHz」になっている。2次キャッシュ(画面右下のLevel 2)は、6144KB(6MB)だ
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試作品のため、CPU名称(Name)は「Intel Processor」のまま。通常ならば製造の進行具合が分かるステッピング(SteppingやRevision)も適当な値になっていた
試作品のため、CPU名称(Name)は「Intel Processor」のまま。通常ならば製造の進行具合が分かるステッピング(SteppingやRevision)も適当な値になっていた
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「CINEBENCH 10 Beta」による3次元画像レンダリングの様子。左がクアッドコアのPenryn、右が現在最速の「Core 2 Extreme QX6800」だ。クアッドコアの場合、画面を横方向に4分割して描画が進む。同時にテストを開始したが、描画の進行状況からPenrynシステムが速いことが分かる
「CINEBENCH 10 Beta」による3次元画像レンダリングの様子。左がクアッドコアのPenryn、右が現在最速の「Core 2 Extreme QX6800」だ。クアッドコアの場合、画面を横方向に4分割して描画が進む。同時にテストを開始したが、描画の進行状況からPenrynシステムが速いことが分かる
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 米インテルは中国・北京にて開催中の開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF) Spring 2007」で、次期主力CPU「Penryn」(ペンリン:開発コード名)の性能比較テストの結果を公開した。Penrynは、現在のCore 2シリーズの後継CPUで2007年後半に登場する。2次キャッシュを現在のCore 2 Duoの4MBから6MBに増強するほか、CPU内部の除算器の演算速度を改良、SSE(ストリーミングSIMD拡張命令)のデータ並べ替えを高速化する「スーパー・シャッフル・エンジン」や新命令「SSE4」を搭載する。ノートPC向けのほか、デスクトップPC向けデュアルコアの「Wolfdale」(ウルフデール:開発コード名)やクアッドコアの「Yorkfield」(ヨークフィールド:開発コード名)もある。

 米インテルが公開したのは、性能評価に使われることの多いベンチマークソフトや動画エンコードソフト、ゲームなどの実行結果。FSB(フロントサイドバス)1333MHz、3.33GHz動作のデュアルコアPenrynとクアッドコアPenrynに加え、比較のため4月10日に発表したばかりのクアッドコアCPU「Core 2 Extreme QX6800」(2.93GHz、FSB1066MHz)の結果も公開した。デスクトップPC向けのCoreマイクロアーキテクチャーのCPUは、QX6800のFSB1066MHz、2.93GHz動作が最高でFSB1333MHz、3.33GHzという製品はまだない。テスト環境は以下の通りだ。

インテルの評価システムのパーツ一覧。Penrynシステムのマザーボードは、Penryn対応品の試作版だった
マザーボードD975XBX2(米インテル製、Intel 975X搭載、Rev 505)
メモリーDDR2-800 2GB(米コルセアメモリー製)
ハードディスクBarracuda 7200.10(米シーゲートテクノロジー製、320GB)
グラフィックスボードGeForce 8800 GTX搭載ボード(台湾アスーステックコンピューター製、ドライバーはForceware 100.65)
OSWindows Vista Ultimate 32ビット版

 テストは5種類。「3DMark06(Build 1.1.0)」は、米フューチャーマーク製のベンチマークソフトで3D処理におけるCPUやシステム全体の性能を測るときによく使われる。「Mainconcept H.264 Encorder」は、独メインコンセプトのH.264形式へのエンコードソフト。「CINEBENCH」は独マクソンコンピューターが提供しているフリーのレンダリング性能測定ソフト。クアッドコアに対応しており、描画の様子が一目で分かる。「Half-Life 2」は有名なPC用ゲームだ。「DivX 6.6」は、広く普及している動画コーデックで、今回テストに使われていたのは開発初期版だ。インテルが公開したテスト結果が下の表だ。

 Penrynデュアルコア(3.33GHz、FSB1333MHz)Penrynクアッドコア(3.33GHz、FSB1333MHz)Core 2 Extreme QX6800(2.93GHz、1066MHz)
3DMark06(Build 1.1.0) CPUスコア75%(3061)122%(4957)100%(4070)
3DMark06(Build 1.1.0) 総合スコア99%(11015)108%(11963)100%(11123)
Mainconcept H.264 Encorder75%(119秒)122%(73秒)100%(89秒)
CINEBENCH 9.573%(1134)125%(1935)100%(1549)
CINEBENCH 10 Beta68%(7045)125%(13068)100%(10416)
Half-Life 2 Lost Coast Build 2707137%(210fps)137%(210fps)100%(153fps)
DivX 6.6 Alpha with VirtualDub 1.7.1173%(22秒)211%(18秒)100%(38秒)

 IDFの会場に並んだ3台のシステムで同じテストを実行したところ、ほぼ同じ結果が得られた。グラフィックスボードの性能が支配的な「3DMark06」の総合スコアを除くと、動作周波数の差を考慮してもPenrynシステムが高い性能を示している。「高速になったFSBやキャッシュの増量分などどこが性能向上に効くかは処理によって大きく異なる。ただ、スーパーシャッフルエンジンはSSE/SSE2/SSE3を使った今までのすべてのプログラムで有効で、除算器の高速化も多用するプログラムでは恩恵が大きい」(インテル担当者)。

 今回はインテルが用意したシステム、ソフトウエア、設定でのテストであるうえ、ソフトウエアには開発途上のものもある。あくまでも参考の域を出ないが、自作PCを楽しむユーザーにとっては、製品版がどう仕上がるか楽しみな結果だと言える。