小型のモバイルパソコン,「UMPC(Ultra Mobile PC)」が各メーカーから相次ぎ登場する。米インテルが18日,中国・北京で開催中の開発者会議「IDF」の基調講演で明らかにした。富士通製のマシンなど実機を複数紹介した(図1~3)。
インテルによると,主要コンピュータ・メーカーは今年後半にも量産体制に入る。基調講演ではNTTドコモの名も挙がった。2008年にUMPCベースのマシンを投入する予定。
今年後半に登場するUMPCは,インテルのUMPC向けプラットフォーム「McCaslin(開発コード名:マッカスリン)」を採用する。インテル製のプロセッサを搭載し,WiMAXとWifiの統合チップなどを備える予定(図4)。
インテルはMcCaslinに続くUMPC向けプラットフォーム「Menlow(メンロー)」の準備も進めている。2008年に登場する予定のMenlowはMcCaslinよりもさらに一回り小型にする。基調講演の壇上ではMcCaslin採用のUMPCだけでなく,Menlow採用のUMPCも展示(図5の右)。動画共有サイト「YouTube」の動画を再生させた。インテルによると2009年に投入するUMPC向けプラットフォームの準備も進めており,これはMenlowのさらに半分の大きさを実現するという。
インテルのAnand Chandrasekher氏(Ultra Mobility Group,General Manager)は基調講演で,「外出先でも通常のデスクトップ・パソコンと同じインターネット体験を実現する」とUMPCの狙いを繰り返し強調する(図6)。UMPCはこの目的から,Windows VistaやLinuxの動作を前提としている。「米マイクロソフトやLinuxのディストリビューション・メーカーもUMPCへの最適化を進めている」(同氏)。
米アドビシステムズなど大手アプリケーション・ベンダーもUMPCに向けて製品の最適化を進めているという。アドビは現在アルファ版を公開しているアプリケーション実行環境「Apollo」をUMPCでも動作するよう調整中という。
「オフィスでも,家でも,外出先でも,同じようにインターネットにアクセスし,Webサイトを見たり,動画を視聴したり,コンテンツを生成できる環境を整える」とChandrasekher氏は語る。「ワイヤレス・インターネットと小型デバイスは,携帯電話が登場して以来の革命だ」。
2008年に投入するMenlow向けプロセッサ「Silverthorne(開発コード名)」には,最新の45nmの製造プロセス・ルールを適用する予定。通常,主要マーケット以外に投入するプロセッサ製品については,主力プロセッサに採用している製造プロセス・ルールより1世代前のものを適用することが多い。ただ,Menlowについては省電力を追求するため,最新の製造プロセス・ルールを適用する。
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