日本経済新聞社は2007年4月18日の夕刊で、「NTT持ち株会社の次期社長が、三浦惺(さとし)現副社長に固まった」と報じた。この件について同社広報室は「現時点で正式に決まったものは何もない」と説明する。ただ、複数のNTT関係者は「思ったよりも早く動き(報道)があった」と受け止めており、「広報部門にも何も伝わっていないのではないか」と推測している。

 NTTの次期社長については、現在の和田紀夫社長が事務系出身であることから、過去の慣例になって「次は技術系から」と見る向きが社内外であった。三浦副社長は人事関連部署のトップ経験が長く、現在は中期経営戦略推進室長を務めている事務系の役員。仮に報道の通りに決まれば、過去の慣習からみると異例の人事となる。

 一般の企業では、取締役の選任については、株主総会で最終的に承認される。NTTの場合には、取締役の改選期にあたる場合と新たに選任される場合に限り、株主総会による承認の後、総務大臣の認可を経て最終決定となる。今回は改選期にはあたっておらず、仮に三浦氏が社長に就任する場合には総務大臣の認可は不要となる。新人事がある場合には、同社が 5月上旬に予定する 2006年度の決算発表時には新役員の顔ぶれが明らかになるのが通例だ。

 NTTグループの人事では、2004年にNTTドコモの新社長として当時の立川敬二社長に代わって津田志郎副社長(当時)が昇格すると報道されたが、最終的に現社長の中村維夫氏が就任したことがあった。このときは、最終的な決定にNTT持ち株会社の意向が強く働いたとされる。津田氏はその後、ボーダフォン(現、ソフトバンクモバイル)社長に転身した。

■変更履歴
当初の記事では、取締役の人事が「NTTの場合には、総務省の認可を経て最終決定」としていましたが、正確には現在の本文の通りとなります。お詫びして訂正します。 [2007/04/18 20:45]